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第2王子10 sideノーマン
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***
数日前から執事が休んでいる。今日こそは来ると思ったが姿は見えなかった。
あの毒は大量に使えば即死だが、少しずつ継続的に続ければ病死のようにみれる。毒だと気付かれにくく、暗殺にはよく使われる。
キャンベル侯爵家の義息子があの毒を飲んだことで、王城は一時、大騒ぎとなったが、今は落ち着いている。
食事も通常通り行っているようで、王族には毒のことは気づかれていないようだ。
麻袋に入っていた紫色の花は残りわずかだ。
俺に忠実なアイツは金がなくとも動く。そんな信用できる者が屋敷にはいない。
「執事はどうした?」
「体調を崩して休みだそうです。」
くそ…こうなったら…
「メイドをこちらに呼んでくれ。」
呼ばれて来たのは平民のメイド。平民だからと言って脅すことはしない。なぜなら、俺は優しい領主という顔をしなければならないからだ。
「実は、執事に頼んでいた薬が切れそうでな…
この金を渡すので、使いを頼まれてくれないか?
確か、君の母親は大病を患っていたね…薬にはかなりの金額が必要だろう。薬を買ってくることができれば、君の給料を上げよう。」
「ありがとうございます!」
「それと、薬の件だが…周りには私が病気だということを伏せている。誰にも知られたくないのでな。分かってくれるか?」
「はい。このことは誰にも言いません。」
「では、よろしく頼む。」
メイドは俺を尊敬の眼差しで見ると、頭を下げ部屋から出ていった。
王族を暗殺するために、動いてるなどメイドは知らない。まぁ、あのメイドが勘づく前に始末するがな。
────────…
「旦那様…こちらが薬です」
「ご苦労」
メイドから薬(毒)を受け取ると、紅茶を飲まないか?と誘う。ティーカップに紅茶を入れると、メイドは慌てた様子で立ち上がった。
「旦那様!?私がっ…」
「いや、私が淹れよう」
紅茶に新しく購入した花を入れる。紫色の花だが、色は染まらない。
「さぁ、どうぞ」
「ありがとうございます。」
メイドがティーカップに口をつけた。
「うっ…ぐっ…………」
ティーカップが倒れ、零れた紅茶がテーブルからカーペットへと落ちる。メイドは床に膝を着くと喉を引っ掻くように苦しんだ。
「がっ………ど……し…て」
「君の仕事はこれで終わりだ。王族殺しのメイドとしてな。」
「だそうですよ?メイドさん」
どこかから、誰かの声が聞こえる。誰だ?ここを見ていたのか?
「誰だ!!!!」
「失礼いたします。私、潜入班の1番担当の者と申します。
とある方からの命令により、あなたを拘束させていただきます。」
「ぐあっ!!!!!やっやめろ!!!!」
天井から影が動いたと思うと、俺は床に倒れていた。動こうにも強い力で押さえつけられ逃げられない。
「メイドさん。迫真の演技ありがとうございます。もう立っていいですよ。」
「はい」
「はっ………?」
どういうことだ?メイドは死んだはずでは?
確かに…毒を入れたはず。
「では、来てもらいましょう。」
「離せ!!私を誰だと思っている!!平民が、貴族に触るな!!!!」
「大丈夫ですよ?あなたは罪人ですから。少し五月蝿いので、こちらのボールでも食べていて下さい。」
黒い格好をした者が俺の口に小さなボールを突っ込む。これにより、声を上げることができない。
俺は何が起きたか分からず、黒い者達によってどこかへと運ばれた。
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