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妹2 sideノア
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***
皆が喜んだ。赤ちゃんは女の子だった。とても小さくて可愛い。可愛いから、お兄ちゃんも可愛いと妹を抱っこする。
新しい家族だ。喜べるはずなのに、僕は素直に喜べなかった。
お兄ちゃんが取られちゃう。義妹は僕よりも可愛くて、小さくて、弱くて、たくさん構ってもらえる。
お兄ちゃんが妹のためにおもちゃを作った。
お兄ちゃんが妹のために服を作った。
いつも僕のためにしてくれた事が、妹のためにと変わっていく。
別にお兄ちゃんに何かをして欲しいわけではない。ただ、お兄ちゃんにとっての特別が僕じゃなくなるのが怖いんだ。
僕とお兄ちゃんは親が違う。本当の家族じゃない。
だから、本当の家族の義妹には僕は勝てない。
そう思うと義妹が邪魔に感じた。
無邪気に笑う声が嫌だ。
お義兄ちゃんを見ないで。
義妹なんていなければいい。
僕は何を考えていたんだろう。なんて酷いことを考えているのだろう。
こんな僕は嫌われちゃう。
お兄ちゃんがまたどこかへ行ってしまった。また、妹の所だろうか。
「にた……」
「ノア様?ジュード様なら奥様と一緒でしたよ?」
メイドが教えてくれた通り、兄は母上と一緒にいた。そこには義妹も。
「ジュード妹にさよならのキスは?」
「はい。ルーシーまたね。」
胸が痛い。見たくなかった。
僕だけと言ったお兄ちゃんは嘘つきだ。
義妹は嬉しそう笑う。
ぽろぽろと頬が冷たく感じた。
嫌いだ。義妹なんて大っ嫌い。
お兄ちゃんに会いに来たのに、逆の方向へと足が動く。
走って走って、遠くへと走った。
どこか隠れる場所に。
こんな不細工な顔を見られたくないから。
こんな醜い心を見られたくないから。
大好きなお兄ちゃんに嫌われたくないから。
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