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逢瀬10
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「はるくんを拘束している、縄が解かれるだけじゃなく、俺を早くイカせれば、君は嫌なことからすぐに解放される。これって、一石二鳥だと思わないか?」
青年にイエスと絶対に言わせるべく、高橋は常套句を並べ立てた。
青年に考えさせる暇を与えさせないように、目の前にある釣り餌に集中させて、まんまと首輪をかける手法――餌にかかってしまえば、高橋の思うがままにヤるだけだった。
「……自分で動きますので、これを解いてください」
「分かった。縄を解いてあげるから、起き上がってもらおうか」
高橋のモノを挿れたまま青年の躰を抱き起し、キツく結ばれていた赤い縄の結び目を解いていった。
複雑な縛り方をしているので、青年の肌に直接触れながら解いていく。場所によっては感じるのか、時折吐息を漏らして躰を震わせる、青年の素直な反応が可愛いと思った。
「外れにくいようにキツめに縛ったから、ちょっとだけ痕が残ってしまったね。大丈夫?」
青年を徹底的に焦らそうと、あえてゆっくり縄を解いてやった。このタイムラグが間違いなく、躰を疼かせるきっかけになるだろう。
「あ……動くと少しだけ痛みま、す」
「ここら辺?」
高橋は解いてる最中に青年が感じていたところを、左手でそっと撫で擦ってみた。
「んあっ!」
「ああ、ごめん。痛かった? ここも大丈夫かな?」
熟したりんごのように、赤い顔で自分を見下ろす様子を、上目遣いで見つめながら、他の場所に触れようとしたら、青年は素早く高橋の手を掴んだ。
ぎゅっと握りしめる感じじゃないそれは、すぐに振り解くことができたが、高橋はされるがままでいた。
「これ以上、触れないで……ください。大丈夫です」
躰の昂ぶりを隠そうとする、青年の震えた声を聞いて、高橋は微笑まずにはいられない。
「分かった。はるくんの言うことを聞いてあげるよ。なんてったって君の下半身が、さっきから嬉し涙を流しているみたいだしね」
それをズバリと指摘した瞬間に、青年は掴んでいた手を放して、両手で下半身を覆い隠した。
苦しげに息を切らしながら「違う」と連呼しても、高橋によって感じさせられるたびに、卑猥な雫を滴らせていたのをしっかりと見ていたので、今更隠しても遅いよと、心の中でせせら笑ってやった。
「ほらほら、はるくん。いつになったら動いてくれるのかな。早くしないと、俺がなにをしでかすか――」
間髪入れずに、綺麗なカーブを描く双丘へ腕を伸ばして、するりと触れた。
「やあっ……」
今度は高橋の手を退けることなく、思いっきり躰をくねらせた。絡みつくような中の締めつけを感じて、自ら声をあげそうになる。
(こんなに感じさせられるとは、想像以上だ。見目麗しくて感度のいい玩具を、あんな場所から発掘できたことに感謝しなければ)
あまり余裕がないのを悟られないように、作り笑いを浮かべて、ベッドの上へと横たわった高橋を、微妙な顔つきで青年は見下ろした。
「このほうが動きやすいだろう? 好きに動いていいよ」
「……はい」
青年は高橋の躰の脇に両腕を突き立てながら、腰を大きく上下に動かしはじめた。こんな苦痛から早く逃れたいという彼の気持ちを表すように、動きをどんどん早めていく。
「あぁっ……はっ、あっ」
「そんな機械的な動きじゃいつまで経っても、俺をイかせることはできないよ。そうだな……。『石川さんとスるのが気持ち良すぎて、おかしくなりそう』みたいなことを言えば、いつもより感じるかもね」
「うっ、そんな、の――」
言いたくなさそうな雰囲気を醸し出した青年の腰の動きが小さくなったお蔭で、高橋にも余裕が生まれた。
「これは夢だと思えばいい」
「えっ?」
告げられた言葉に青年は腰の動きを止めて、まじまじと高橋の顔を見つめた。
「はるくんは俺とこういうことをするのが、嫌で堪らないだろ。義務的な感じで行為をしても、それが俺に伝わって、全然感じないんだ。だからいっそのこと、これは夢だと思えば、少しは気が楽になると思ってね」
「夢だと思う――?」
何てむちゃぶりなことを言い出すんだろうという感情が、自分を見つめる眼差しから伝わってきた。眉根を寄せながら目を見開き、愕然とした面持ちの青年に、高橋はなぜだか二の句を継げることができなかった。
(どうしてあのとき、あんなことを言ってしまったんだろう。いつもなら彼を徹底的に辱めた上に貶めて、楽しむ場面だったはず――)
「牧野さん、本社からわざわざいらしたんですか?」
同僚があげた歓喜の声で、高橋の考えていたことがプツンと中断された。
「やあ! 僕が去ってから随分と部署の雰囲気が変わってしまったね。みんなが頑張っていることは、本社でも話に聞いているよ」
皆を労うような柔らかい声が響くと、疲弊していた同僚たちの顔が、安堵に満ちたものに変わっていった。
数か月前まで元上司だった男に興味がなかった高橋は、目の前にあるパソコンの画面に視線を釘付けにする。青年に逢う時間を、なんとかして作ろうと考えた。
残業中だというのに、こうして思い出してしまうなんて、相当溜まっているなと僅かな微苦笑を自嘲的に口角に浮かべた瞬間、肩を強く叩かれる衝撃に躰を竦めるしかない。
「僕が高橋くんをサブチーフに抜擢したというのに、随分と冷たい態度をとってくれるじゃないか。本社に行った人間には、もう興味がないっていうこと?」
背後からにゅっと顔を覗き込まれて、高橋は顎を引きながら距離をとった。心情を悟られてしまったことに驚きを隠せず、いつものポーカーフェイスが作れない。
「すみません、今日中に終わらせなければいけない仕事がありまして」
「悪いがそれを一時中断して、隣にある第一会議室に一緒に来てくれ」
近づけられた顔が、意味深な微笑で高橋に笑いかけるなり、すっと離れていく。こんな過度な感じのスキンシップをする男じゃなかっただけに、どうにも違和感が拭えない。
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