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目覚め8
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それでも、この巨大な魔物たちに対抗できるだけの術が見つかったのは僥倖だ。アグルムに敵を牽制して貰いつつトカゲが攻撃することで、時間は掛かるが魔物を倒すことができるかもしれない、と少年は思った。
恐らくアグルムを同じことを考えたのだろう。ちらりと少年を見てひとつ頷いた彼は、剣を構えて再び魔物へと向かって行った。
「ティアくん、まだ頑張れる?」
ライターを手に少年がそう問えば、トカゲはふんと胸を張って頷いた。
トカゲの返事によしと呟いた少年が、トカゲに向かって再びライターの魔術を発動させる。現れた炎をトカゲがごくりと飲み込み、魔物の方へと再び向き直った。だがそのとき、
「魔術道具とは盲点でした。ですがそれではこの空間の意味がない。申し訳ないですが、これはこちらでお預かり致しますね、エインストラ」
少年の耳元で、舐るような声が鼓膜を震わせた。同時に、持っていたライターを強い力で奪われる。ぞわぞわと背筋を這い上がる悪寒がした少年が反射的に後ろを振り返れば、ライターを片手ににこりと微笑むデイガーが間近にいた。
瞬間、トカゲの炎がデイガーに向かって放たれる。だが、少年の身を焼かないようにと威力を抑えたのだろうそれでは、デイガーにまでは届かなかった。トカゲの吐き出した炎は、デイガーが生んだ空間の歪に呆気なく呑みこまれてしまったのだ。
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