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共鳴2
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そんなことを考えた少年だったが、実際のところは、まあ恋人同士なんだから同じ部屋に放り込んでおいても問題ないだろう、掃除の手間も省けるし、と考えた黄の王の指示によるものである。勿論そんなことを知る由もない少年は、それなら自分を床に転がしておいてくれて良かったのに、などと思った。
そんなどうでも良いことを考えていたせいか、すっかり落ち着いた少年は、なんとなく赤の王の顔に目を向けた。他に見るところがないのだ。
(……寝顔、見るの初めてだな)
別に望んでのことではないが、成り行きで王と寝所を共にした経験は何度かある。だがそのいずれも、少年が目覚めたときには既に王も起きていて、慈しむような目をして少年のことを見つめているのだった。寝入るのもいつも少年の方が先なので、これまで王の寝顔を見る機会は一度もなかった。
瞼を下ろしているため、当然ながらその特徴的な金の瞳は隠されている。これなら、少年が真正面から王の顔を見ても動揺することはない。
安らか、というよりも、なんというか人形然とした表情だった。眉間にしわが寄っているだとか、苦しそうな表情を浮かべているだとか、そういうことはないのだが、安らいでいるようにも見えない。ただ目を閉じている、という表現が一番近いだろうか。こんなに近くにいるのに、寝息の一つすら聞こえてこないから、そう感じるのかもしれない。余りの静けさに、一瞬、本当に生きているのだろかと疑ってしまったほどだ。
だが、落ち着いてみれば、呼吸に合わせて小さく胸が動いているのを感じるし、そもそも死体ではありえないくらい、触れ合う身体は温かい。だから、死んでいるだなんてことは有り得ないのだが、それでも本当に僅か一瞬だけ、少年は胸が冷えるのを感じた。
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