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共鳴5
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自身の余りの浅慮さに落ち込む少年を見て、ゆるりと微笑んだ王は、小さな額にそっと口づけを落とした。
(ひえっ)
何度されても慣れない感覚に、少年が胸の内で悲鳴を上げる。そんな彼の反応に、やはり盛大に何かを勘違いしたらしい王は、微笑んだまま口を開いた。
「何も気にすることはないぞ、キョウヤ。お前から私に触れてくるのは、私にとってはこの上なく喜ばしいことなのだから」
だからもっと触れてくれ、などと言いつつ少年をしっかりと抱き締めた王は、彼の顔に繰り返しキスを落とし始めた。
(…………あつい)
密着度が増したからか、暖かいというよりも、少し暑いくらいである。
少年は寒暖差に鈍いからか、多少の暑い寒いは気にならないし、あまり汗をかくこともない。だが、今は心なしか顔が熱を持って、首の後ろ辺りにじんわりと汗が滲んできているような気がした。
(……こんなに暑くなるものだっけ……?)
そんなことを思いつつ、ならば目の前の身体から逃れればいいだけだ、と考えはしたのだが、困ったことにこの王は、はいそうですかとすんなり離れてくれる相手ではない。経験上、あの手この手でくっつき続けるはずだ。
それに、起こしてしまったのは自分である、という負い目もある。疲れている相手を起こしてしまった以上、ある程度我侭に付き合うのが筋なような気もした。
というか、そもそも、
(……そういう、感じじゃ、ない……)
そうなのだ。何故か、そんなに離れたいという気持ちが湧いてこないのだ。いつだかに覚えた、胸の底を冷やすような不可思議な感覚はなんとなくあるし、それ以上に、なんだか尻の座りが悪いような、むず痒いような、如何ともしがたい感覚もあるのだが。
(何だろう。……なんか、変な感じがする)
王の行動を厭わしいと感じなくなったのは、恐らく、自分が彼に好意を抱いているからなのだろう。だが、それではこの落ち着かない感じは、一体なんなのだろうか。
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