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終局2
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「だー! なんなんだお前ら! 揃いも揃って痴呆か! つーかロステアール王! あんたやっぱ炎出してたみてーじゃねぇか!」
「いやぁ、参った。あそこには確かに精霊が存在しなかったのだが、一体どこから出て来たのだろうな?」
「俺が知るか!」
叫んだ黄の王に、やや顔色を悪くした少年が再び謝罪の言葉を口にする。
「お、お役に立てなくて、本当に、申し訳ありません……」
「ああこら、あまりキョウヤを苛めないでやってくれ」
かわいそうに、怯えてしまっている、と言いながら少年を抱き寄せてその頭を撫で始めた赤の王に、黄の王が辟易したような目を向けた。
「……はぁ」
一際大きなため息を吐き出した黄の王が、諦めたような表情をして肩を落とす。
「まあ、俺にゃあんたの嘘を見抜くことはできねーからな。それに、その覚えてないってのが嘘にしろ真にしろ、この状況であんたがこの大陸に不利なことをするとは思えねぇ。もし嘘なんだったら、必要な嘘ってことなんだろ。だったらもう良いわ。疲れたし」
そう言った黄の王が、今度は視線を少年へと移す。
「お前も別にそこまで気にしなくて良いぞ。国王陛下ですら覚えてねーっつってんだから。ま、厄介な空間魔導の使い手がいなくなったってだけで、そこそこのお手柄だ。精霊がいない空間ってのもそこの王様が壊したって話だし、取り敢えずの脅威は排除できたってことで良いんかね」
「次に向こうが何をしてくるか判らない以上、脅威を排除した、と言い切れはしないが、貴殿を含め、我々に現状できることは全て行った、という認識で良いと私は思う」
赤の王の言葉に、黄の王が頷く。
「確かに、うちの国のことに関しちゃあ、あんたらがぐーすか呑気に寝てる間に概ね片づけたし、あとは近日中に派遣されてくる予定の薄紅やら紫やらの連中と協力して、魔導陣が仕込まれてる生き物が他にいないか再調査するくらいだ。つっても、あんたがデイガーを殺したなら、魔導陣だって消えてる可能性が濃厚だけど」
まあ念のためな、と言った黄の王に、赤の王も首肯して返す。十中八九、空間魔導に関連する魔導陣は全て解除されていると見て良いはずだが、万が一を考えての行動は必要だ。
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