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終局4
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「大物、か。どのような?」
「そのあたりの情報がどうにもごちゃごちゃしてるんだが、多分、どっかの次元で崇められているなり畏れられているなりした神だろう、って見解になってるみてーだな」
神、という単語に、少年の顔色が悪くなる。言動から察するに、この世界に伝わる創世神のような高位の存在ではなく、人々の思いによって生まれる概念上の神のことなのだろうが、それでも神は神だ。普通の人間に対処できる存在ではないのではないか。
「……なるほど、水神でも使役して寄越して来たか?」
「判ってんじゃねーか。これも予想通りだったか?」
「……予想通り、というよりも、想定していた最悪の事態だった、という方が正しいな。あり得ることだと思い、それに対処できるだけの条件を揃えてから出て行ったが、本当にそうなるとは思っていなかった」
赤の王の言葉に、黄の王が片眉を上げる。
「となると、帝国側は基本的に俺らが一番嫌なことを的確にやってきてるっつーことだな」
「ああ、そういうことになる。……それで、グランデルの被害状況は?」
珍しくやや緊張したような雰囲気を感じさせる赤の王に、黄の王は内心でおや、と首を傾げた。
こういうときほど、気味が悪いくらいに常と変わらない様子を保つのが赤の王だったと思うのだが、どうしたというのだろうか。
そんなことを思いつつ、黄の王は赤の王に向かって肩を竦めてみせた。
「一部の沿岸域が水浸しにはなって、家が流されたりだとかいう被害はあったみてぇだけど、死者はゼロだ。ロンター宰相が先手を打って対処に努めたおかげらしいぞ。やっぱ優秀だな、あの宰相」
言われ、赤の王が僅かに安堵したような息を吐いてから、緩く微笑んだ。
「任せると言ったからな。レクシィはそれに応える男だ」
傍で聞いていた少年も、死者はいないという話にほっと胸を撫で下ろす。だが、神のような存在をどうやって迎え撃ったのだろうか。相手が水神のようなものとなると、相性の都合で赤の王ですら分が悪いように思える。それをあの宰相が倒したと言われても、どうにも信じがたいと少年は思った。
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