アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
喧嘩
-
「泰陽ー、泰陽……ッおい!獅戸!」
思わず泰陽の旧姓を叫んだ。
父ちゃんと真宵さんの帰りはいつも遅い。元々父ちゃんと暮らしてた時も家事を一通りこなしていた俺が部活が終わり帰ったらすぐに家事に取り掛かる。今は帰ってすぐ自部屋にこもる泰陽の洗濯物を取りに来た。ドアの前で結構読んでいるはずだが全く出てくる様子がない。
しびれを切らして泰陽の部屋に勢いよく入った。
ガチャッ
「おいこら泰陽!」
「……」
泰陽はヘッドホンをしながら勉強をしていた。俺はヘッドホンの線を抜く。するとスピーカーから英文が流れ、泰陽が俺に気づく。
「……何の用ですか?勉強してるんですけど」
「洗濯物と水筒!出せ!帰ってきたら1番に!」
「わざわざそれ言うために僕の勉強の邪魔を?」
「洗い物が片付けられねぇから言ってんの!お前が無視するからいけないんだろ?!」
「すぐに大声出さないでください、糖分足りてます?」
「 お前なッ……はぁ、とりあえず出せ洗うもん」
「……」
無言である方向を指さす。さしたほうの指の先にあったのは籠の中に着た衣類と水筒が入っていた。
口で言えし!まとまってんなら自分でやれよ!
籠を持ち下に降りて洗濯、皿洗い、夕飯作り、風呂洗い、服をたたむ。一通りを済ませる。父ちゃんと二人の時と同じだから特に苦ではないが量が増えたので大変ではある。
あいつも手伝うってことすりゃいいのにクソッ!
「ただいまぁ〜……」
情けないような声が玄関で聞こえた。父ちゃんだ。
「おかえり、手洗って洗いもん出して荷物置いて来て」
「はぁい…もー疲れたよ〜定時で帰れるように頑張ったー!」
「はいはい、おつかれ」
父ちゃんは俺に言われた事を一通りやると2階に向かう。階段で泰陽とすれ違った。
「あ、泰陽ただいま」
「……おかえりなさい」
「定時で上がれたんだぁ!頑張ったよ〜」
「……」
はぁ?!無視かよ!人として終わってる!
泰陽が父ちゃんのことを信用してないのはわかってるけど今のは酷すぎる!父ちゃんも父ちゃんだ!あんな態度とるのに叱らないとか…
父ちゃんが上にあがり、泰陽が下に降りてくる。
「お前な!隠すって事知らないのかよ!義理とはいえ養われてんだぞ?!おまえ!」
「僕がどんな態度でいようと勝手でしょ」
「ッてめ」
俺の中でプツンと何かが切れた気がした。俺は泰陽の胸ぐらを掴んで殴りかかろうとする。泰陽が異常なまでに怯えた顔で俺を見た。
泰陽は過呼吸になっていく
なん、だよその顔……
無言のまま家を出た。
これが俺と泰陽の初めての大喧嘩だったと思う
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
2 / 9