アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
コンプレックス
-
「泰陽〜たーいよー」
あれから泰陽は自分の部屋で勉強するよりリビングで勉強する事が多くなった。リビングで家事を一通り終えてソファで寝っ転がりながら逆さまに泰陽を見ながら名前を呼ぶ。
「………」
相変わらず俺の事を無視するが若干口がピクっと動いた気がした。可わi
「集中したいので雑音出さないで貰えますか?」
くねぇぇぇぇぇ!嫌いだ!やっぱり嫌い!
でも前より全然兄弟やれてる!俺も課題持ってきてやろ!
2階から課題を取ってきて広げた。ちらっと泰陽が俺の課題を見る。
「字汚い…((ボソッ…」
「あ?!」
「なんでもないです、問1から間違えてますよ
馬鹿ですか?」
「え、嘘?!」
「x=7です。どうやったら83になるんですか?」
「いや、わかんなくて…お前頭いいもんな!サンキュ!」
「ッ…いえ別に」
泰陽はみみたぶを触り、自分の課題の方に目を戻した。
照れてらァ、可愛い……
頬杖を着きながらスラスラと課題を解いていく泰陽をぼーっとみた。
深い藍色の瞳で不気味なほど青白い肌、手足も指先も細すぎる。イセカイって所の人間みたいだ。
あと前髪長!俺は自分用に持っていたピンをもって泰陽の目の前に行き集中していていた泰陽の前髪を横に流すようにまとめる。
「ッ!」
「動くなよ〜?」
泰陽は髪の毛に触れられた瞬間から目を強くつぶり小さく震えた。その反応にびっくりして思わず手を引く。
「わ、悪ぃ…前髪邪魔じゃねぇかなって」
「……え、?」
そういえば俺が胸ぐら掴んだ時も同じような反応をしていた気がする。尋常ではないほどビビっているかんじ。こんなにビビるのに理由があると思うけど……
モヤモヤする気持ちを持ちながらピンを机に置いてキッチンから水をコップに入れ持ってきた。少し過呼吸の泰陽がそれを飲む。
「大丈夫か?」
少し落ち着いたらしく無言で頷く。自分の行動に何か泰陽がビビるようなことが無かったかを思い出してみた。
胸ぐらを掴んだ時、髪を触った時……うーん分かんねえ
考えてる間に泰陽はピンに手を伸ばし長い前髪を横に流して止めた。泰陽の顔がよく見えるようになる
「…どーだ?」
「前が見やすい、です」
「そーだろ!それやるよ」
「え?」
「そっちのがいい!似合ってるからそれやる」
笑って言うと泰陽はまた照れる。
「ッ、ぐ、愚兄から何を貰っても嬉しくないです!」
「あぁ?!おま、また愚兄つったな?!」
「言いましたー!簡単な方程式も解けないんですから
”弟”として恥ずかしいです!!」
「恥ずかしいってなんだ!どこが具体的に恥ずかしい?!」
「全体です〜見た目から馬鹿!アホ丸出し!単細胞!」
「ほとんど頭の事じゃねぇか!」
「ほんと恥ずかしいです!コンプレックスですよ!
僕の人生の!」
「そこまで言う必要ねぇだろ!」
言い合いしながら家の中を駆け回る。
俺がコンプレックスだと?!マジこいつムカつく!!
丸くなったと思ったらすぐこうだ!
ガチャ
「うるさァァァァい!!!」
玄関の開く音が聞こえるやいなや真宵さんの声が家中に響く。俺らの喧嘩の声や音が家の外まで聞こえたようだ。世界でいちばん有名な猫とネズミのように追いかけっこしていた俺らも動きを止める。
「やっべ」
「君のせいですね」
「あぁ?!」
「そんなことより母さんのとこ行かなきゃ」
「そんなことッ…?!」
小さな足音を立てて泰陽が下に降りていく
勝ち逃げしたな?!あんな素直じゃない根暗なんて俺もコンプレックスだっつーの!!
追いかけるように階段を駆け下りる。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
4 / 9