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登校
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「一緒に登校するぞ!」
「……なんでですか?」
翌朝、早々に準備を済ませて泰陽の部屋のドアを開きながらちょっと大きめの声で言った。
起きて数分の泰陽は半目で寝癖をつけた髪をかきながら迷惑そうな顔で返してきた。
「いや、だって………」
実は喧嘩してから別々に登校するようになってしまっていた。なかなか元に戻そうと言いにくくてグダグダどここまできてしまった。泰陽はムカつくけど話してると笑ってくれたりするからもっと一緒にいたいと思ってるし……
「……はぁ、いいですよ。少し待っていてください」
「ほんとか!うん!待つ!」
「はぁ……」
ため息多くね?早速ムカつくな!
テキパキと無駄な動き一切なく支度をしてものの15分足らずで準備が出来た泰陽が上から降りた。下の階には今日休日の2人がコーヒーを飲みながら朝食を食べている。
「2人ともおはよー!」
「おはよ、かあさん」
「おはようございます真宵さん」
元気で明るい笑顔で真宵さんがリビングへと俺たちを迎えた。真宵さんはいつも笑顔で見ていて安心する。
「うんうん!2人とも元気そうだね」
「今日は父さんがご飯作ったんだ!どう?どう?!」
父ちゃんが目をきらきらさせて朝食を見せてきた。
トーストに目玉焼きにベーコン、サラダ、理想的な朝食と言えるようなメニューだった。
「父ちゃんが?」
あんなにズボラな父ちゃんがこんなに美味そうな朝食を作るなんて……ッ、軽く裏切られた気分だ
「美味しそうですね」
「泰陽、気とか遣わなくていいから
不味かったら不味いって言えよ?俺が作るから」
「え、え?えっと……」
「月希酷くない?!」
「亮、どんまい……」
「真宵まで……大ショック……」
父ちゃんが大袈裟に落ち込むと真宵さんと泰陽がクスクスと笑った。それにつられて父ちゃんと俺も笑う。
なんだか普通の家族だ。この時間が1番好きかもしれない
不味い(?)朝食を食べ終えて歯磨きをして、顔を洗って、学校に行こうとした時。真宵さんに呼び止められた。
「月希」
「なんすか?」
「昨日泰陽に困った事あったら言えよって言ってたけど、なんか心当たりあるの?」
「……泰陽、虐められてるって」
目を見開いて驚く真宵さんを、見つめた。
あぁ、この人ちゃんと悲しんでくれる人だ…
「ッ、そっか…ごめんね私気づけなくて……
母親失格だよね……」
「いや、真宵さんはいい母さんですよ
少なくとも俺が今まで見た母親では……」
あのクソ女は俺がどうなろうと自分の色恋でいっぱいいっぱいだったから…本当は比べるなんてしちゃいけないけど……
「……ありがとう」
「真宵さん、協力してください
泰陽強がって無理して学校通ってるかもしれない
言いたいこととか言えてねぇかもしれない…
このままじゃッ」
震える声を抑えながら真宵さんに言うと、真宵さんは俺の事を優しく抱きしめた。
「ッ……」
「あなたもよ、ゆっくりでいいから
我慢しないでホントの事話しても大丈夫だから」
抱きしめられたのなんていつぶりだろうか…
優しい温もりが直接心臓に突き刺すみたいに、とにかく泣きそうになった。
「泰陽もそうだけど月希も大切な息子だから、何があっても私達が守る……だから」
「ま、真宵さんッ……が、学校遅れちゃう」
「あ、そうね、ごめんなさい」
顔を隠すように玄関を出て、外で待っていた泰陽と合流した。
「どうかしました?」
「うっせ!あんま見んな!」
「あ、はい」
「あと!お前は俺が守る!兄ちゃんだからな!」
「えー…ほんと何があったんですか」
袖で顔を脱ぐって、前をどんどんと歩く。
その後ろを泰陽が小走りで着いてくる
怪訝そうな顔をしながら着いてくる泰陽に振り返って
キリッとした顔を向けると、さらに怪訝な顔をして半分呆れていた。
「情緒が……」
「学校好き?」
「またいきなり……そうですね…」
かすかに泰陽の顔に影がかかった。
あぁ、やっぱり…無理してる
「……普通ですよ」
「そっか」
真面目な話はそこまでにして学校に着くまで俺の経験した楽しかった思い出を沢山話した。泰陽は呆れながらも沢山笑ってくれて、めちゃくちゃ嬉しかった
途中でつまずいたりして泰陽にバカにされたけど、笑ってくれるならそれでいいと思うし、イラッとはするけど大して嫌じゃない気がする
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