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あいつには近付かない方がいいよ。
転入してきて、始めに教えられたのはその事だった。
クラスメイトがあいつ、とこっそり指差す先には腕を枕にして机に突っ伏している男子の姿があった。
俺、日出 燈真(ひい とうま)は東京から田舎に親の転勤で引っ越して今日初めてこの高校に登校したのだが、最初から面倒な事があるもんだと溜息を吐いた。
先程あいつ、もとい近付いてはいけないと教えられた男子クラスメイトは、月出 白歌(ひたち きよか)という中々に初見殺しの名前をしていた。
日出と月出の似た様な感じとそもそも月出という珍しい苗字から興味津々だったのだが、あいつは頭おかしいからと言う言葉に少し躊躇った。
よくよく聞いてみる事には、月出の家は父子家庭でありまだ幼い頃に母親が子供たち全員を置いて出て行ったのだとか。
そこから父親は3人の教育費を払うために、自分の親に子供を預けたまま仕事三昧の日々。
子供たちの行事に参加することも厳しく、当然町内会などの集まりにも出席出来なかった事から子供は除け者状態になっていった。
それに加えて母親が男遊びが激しく、田舎のこの町では村八分のような状態でもあったため尚更避けられているらしい。
しかし、それは月出本人の話であった。
上記に出てきた兄弟——兄と姉は頭もよく、見た目も良かったため除け者にされる事なく馴染んでいるらしい。
一方で月出は容姿は良いものの、人を受け入れようとしない頑なさと根暗加減から勝手にヤバいやつ認定されているようだ。
俺はもう一度溜息を吐いた。
田舎ってのは、自分達が受け入れられないものは、みんな頭がおかしいらしい。
やはり面倒な事だと初日から重い気持ちに包まれた。
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