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椿
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あれから随分と時が経って、俺たちはますます親しくなっていた。ジョンは、単純にいい人だと、今の俺にはわかる。
ある日ジョンは俺の働く焼肉屋へ来た。勿論来る前に、来ていいか訊いてくれた。俺は特に嫌ではないので、承諾した。
いつもかっちりしたスーツを着込んでいるジョンが、Tシャツにジーパンという出立ちであらわれた事に、俺は愕然とした、というよりも、笑ってしまった。
ジョンは焼肉屋に入るなり、麦さんが今日は誠の彼氏が来るよと宣伝していたのと店が暇だったために、あっという間に店員たちに囲まれて、質問攻めにあっていた。
困ったようにこちらを見るジョンに近づく。
「ジョン、みんな、ジョンを一目見たかったんだって。」と俺が言うと、
「そんなに珍しい存在でもないのになぁ。」と、ジョンは呟いた。
「お仕事は、何をされてるんですか?」と店長の麦さんが聞く。
「まあ色々と。」
裕福そうな見た目に、店員たちの注目が集まる。
困った。俺に嫉妬する人も出るかも。もしそうなったら、麦さんに仲裁してもらおうと思っていると、ジョンがウインクで合図してきた。
「おいで」という意味だ。俺は、ジョンの側に寄る。
「ご注文は?」と聞くと、
「ハラミとレバー。焼いてくれるかい?」と、ちょっと意味深に目配せしてきて、俺の気持ちはきゅんとなる。
一緒にいられる時間は大切で、あまりにも甘い。
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