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プロローグ
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重い身体を引き摺って乗り込む満員電車。
ぎゅうぎゅうのその箱の中で押し潰されるように小さくなって、酒臭い他人の気配を煩わしく思いながら、疲弊した身体は状況もわきまえずに睡眠を訴える。
窓の向こうの濃紺の広い世界は、街のネオンとビル群の灯りで煌々と輝いている。
溜息を堪えて目を細めると、窓に映った自分の顔は目の下に影が落ち血色が悪く、生気がなくてなんとも情けない。
眉をひそめて、さっき堪えたばかりの溜息が漏れそうになるその寸前で、プラットホームに流されるように吐き出された。
いつの間に駅に着いたんだ、と半ば憤慨しつつも、背中を押されるように人波に揉み込まれながら改札へと急ぐ。
ああ、熱い風呂に入りたい。
ベッドに寝転がって全身を思い切り伸ばしたい。
こんな時間じゃ夜のニュースしかやってないだろうけど、それを眺めながら冷えたビールをあおるんだ。
・・・・・・・・・・思い浮かべてみろよ、至福の時間を。なぁ?
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