アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
第1話 ウサギ、狼に喰われる
-
ーーピピピ
「…んっ」
カーテンから差し込む日差し、快適な気温、鳥の鳴き声…なんて素晴らしい朝なんだ。夏も近いと言えどやはり朝は涼しく、
起きたくない衝動に駆られてしまうのは仕方の無いことでは無いだろうか。
もぞもぞと何かを探そうとしてか、ベッドから足を軽く動かして見たが、どうも身体はその気では無いらしい。
当然の事ながら、自分を起こそうと響き渡る目障りな音。消てやろうかと時計のアラームに手を伸ばして見るが、可笑しい見当たらない。
それもそうだろう、布団から起きる気など更々になく、目を瞑ったまま手を伸ばせばそれは当たり前で。
仕方なく妥協したのか、ベッドの主である晴人(ハルヒト)は気だるげに起き上がった。
「ヤバ…遅刻だ」
寝惚け眼で時計を止め、一瞬硬直する。針は8時を指しており、今から死ぬ気で走ったとしてもHR迄には学校に着けないだろう。やってしまったと、苦い顔を醸し出せば、焦るようにして晴人は立ち上がった。
遅刻に関しては特に焦っているわけでは無いが、着いたらきっと彼に怒られるであろう事が、小さい脳ミソの持ち主である晴人にも十分理解できた。
お洒落に気を付けるお洒落男子な自分も今は捨て置き、必要最低限な用意だけ済ませて部屋から飛び出す。
(彼はきっと鬼をも逃げる形相で待っているだろう)
走っているのにも関わらず、なぜだろう…寒気がした。いや、分かっているからこそ、寒気がした。
頭で思うのは言い訳と言う名の逃避行。
嘘はいけないと分かっていながらも、自分を守るのに必死な自分に嫌気すら感じる。
自分の撒いた種にげんなりとしながらも、進む足を早めた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
1 / 24