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「思い出した?分かれば良いんだよ、次はしないこと」
「ゴメン…俺、」
俯きかげんに落ち込む晴人を分かってか、頭を軽く叩き微笑む。クラスメイトなら分かるかも知れないが、彼の笑顔は特別貴重なのだ。
「なにうじうじしてるんだか。そんな性格でもないでしょ?反省したいなら放課後ご飯でも奢ってよ」
「へっ?それだけで良いの?」
恐る恐る問い掛けてみるが、怪しい。
今先程微笑んでいた笑みは何処へ行ったのかと、少し黒く感じるのだ。
恋人を疑う訳では無いのだが、なんだかんだで付き合いも約一年弱…お互いを知るには充分では無いだろうか。
自分の勘を信じ、怪しむようにじっと彼を見詰めてみる。
「なに、お仕置きでもして欲しかったの?」
「…っ!!ちがッ」
不意に耳元でわざと低く妖艶な声音で囁く恋人に、赤く火照らす自分の頬。分かりやすさが返って裏目に出ているなどとは本人が気付く訳がなく。
鼻でクスッと笑う彼を止める術など、自分には残念ながら持ち合わせてい無いのだ。囁かれた耳を押さえて、まるでか弱いウサギが肉食狼に抵抗するかのように余り威力の無い睨みを効かせる。
効果は有るかは分からないが、ウサギに出来る事は其れだけだった。
ーー放課後。
時間と言うのは早いもので、授業等睡眠学習だと言わんばかりに寝て過ごした。勿論、睡眠学習が頭の中に入っているはず等無いのだが。
頭の中で思い描くのは朝の約束…ご飯を奢る事以外を除いては、デートに近いと言えるだろう。
約束を破り落ち込んでいた朝の自分は一体何だったのかと言うほどに、今の自分は分かりやすい程浮かれている。
浮き足もたっていいだろう。
本来委員長である彼は、委員会に参加しないといけない。最近忙しいのか余り一緒に帰れていない為、一人下校が日課となっており、待っていれば良いだけの話なのだが、生憎自分はコンビニでアルバイトをしていた。
噛み合わない時間に最近は寂しささえ覚え、バイト先で何度会えない苦しみについて愚痴を溢したか。同じクラスとは言えいちゃいちゃ出来る筈など無く、何度涙を飲んだ事か。
だからこそ、今日が楽しみで仕方無いのである。バイトが丁度休みだったこの奇跡、今なら普段願わない神様に感謝しても良いだろう。
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