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和臣による恭介へのデンジャラスな想い2
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昨日まではエロ雑誌の見開きに載っているナイスバディなお姉さんが、僕の相手をしていた。だけど今日から、それが変わってしまったんだ。
ひとりHをする時点で多少なりとも罪悪感みたいなものがあるのに、その対象が同性の幼馴染みというだけで、心に十字架を背負わされているみたいに感じた。
(お姉さんよりも恭ちゃんでヌける回数のほうが多いって、一体どうなっているの……)
息を切らしながらティッシュの上に放出された白濁を見て、妄想を打ち消すように頭を振る。
『いってきまーす』と家を出た瞬間から、イケメンの幼馴染みがいつも傍にいた。
自分を気にして心をかける優しい声や、ふとしたときに香ってくる体臭に、頭を撫でてくる大きな手など、実際にそれらを目の当たりにしているせいで、エロい方面の妄想にこれでもかと拍車をかけていく。
恭ちゃんの手が自分のを触っていると考えただけで、ものの3秒でイってしまう早さよりも、大好きな幼馴染みをネタにしている行為そのものがつらくて堪らなかった。
このことを恭ちゃんが知ったら、どんな顔をするだろう――絶対に嫌われちゃうよね。
「臣ちゃん、恭ちゃんが遊びに来たわよ!」
平屋の奥にある自室に向かって、おばあちゃんの大きな声が響き渡った。慌てて下着と一緒にズボンをあげてから、持っていたティッシュをゴミ箱にポイして窓を開け放ち、空気の入れ替えをする。
学校から帰った途端にヤっていたと知られたら、それこそ幻滅ものだろう。
「和臣、入るぞ!」
玄関に出迎える前にやって来た幼馴染みに、驚きを隠せなかった。僕ってどんだけ、トロくさしてるんだか……。
襖を開け放った恭介を前に、部屋の中央で正座で出迎える僕。違和感ありまくりだ。
「何してたんだ、おまえ」
「何もしてないよ、あはは……」
「笑ってる場合じゃねぇだろ。今日の数学の小テストが赤点だったろ。明日の放課後に追試があるっていうのに、余裕のある顔してるのがおかしいぞ」
恭介の大きな手が頭を撫でてくる。その感触を覚えるように、目を閉じて受け続けた。
「恭ちゃん級長会議が終わったら、そのまま塾に直行じゃなかったの?」
とりあえず、ここに来た幼馴染みのことを気にしてみる。恭介が塾に行くことを知っていたから、まっすく自宅に帰ってきたのだった。
「まぁな。一日くらいサボっても、連絡がいかないことが分かったから、わざわざここに来てるんだけど?」
しゃがみ込んで僕と同じ目線になった恭ちゃんの瞳が、優しい感じで細められた。
それは幼馴染みとして心配して見つめてくる視線なんだろうけど、僕としては愛情のひとかけらでもいいから混じっていてほしいと、願わずにはいられない。
僕は恭ちゃんが好き――誰にも渡したくないくらい大好き。でもこの気持ちを告げてしまったら、こうして気軽に来てくれなくなっちゃうよね。
だって男が男を好きなんていう感情は、おかしいものだもん。どちらかが別の性だったら良かったのに――。そしたらこの想いを素直に告げることができる。
「恭ちゃんがわざわざ、気にすることでもなかったでしょ。赤点をとったとしても進級できるんだからさ」
「ダーメ! 高等部にめでたく進級したのに、テストが赤点ばっかりで留年することになったらどうするんだ。中学の今から、きちんと勉強をしなきゃいけないだろ」
「やる気が出ない……」
「和臣ってば、やればできるくせに。頑張らなきゃ!」
「ほっぺにチュッてしてくれたら、やる気が出るかもしれない」
恭ちゃんができないことを、あえて言ってみた。大好きな幼馴染みが傍にいるだけで落ち着かない状態だというのに、どうにも勉強に集中できない。
「……そんなもので、和臣のやる気が出るなら」
言うなり、本当に頬にキスをした恭ちゃん。しかも口のすぐ横にしたものだから、ドキドキがフル加速した。
あまりの出来事にぽかーんとした僕を尻目に、恭ちゃんは目の下を少しだけ赤くして顔を背ける。
「してやったんだから、さっさと椅子に座って勉強しろよ」
そう急かされても上の空だった。だって皮膚の上に残った恭ちゃんの唇の痕を、必死になって思い出していたから。
「しょうがないヤツだな。ほらほら、立ち上がって椅子に座る!」
僕の脇の下に腕を差し込み、よいしょと持ち上げて無理やり勉強机に連行されてしまった。
「明日の追試は、今日のテストと同じ問題が出るんだろ? 教えてやるから、回答出してみろ」
「教えてやるからって、恭ちゃんのテストはどうだったのさ?」
勉強机の傍らに置いていたカバンから、ぐちゃぐちゃに突っ込んでいた解答用紙を取り出しながら訊ねてみる。
「まあまあだったよ。っておいおい、なんでプリントをそんな風にしてるんだ。余計に見直しする気がなくなるだろ」
僕の頭を小突いて自分のカバンからファイルを取り出し、そこから答案用紙を見せてくれた。
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