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Love is in danger2
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あからさますぎる過剰な態度に橋本が言葉を飲み込むと、いきなり深く頭を下げてきた。
「ごめんなさい。俺のせいで、陽さんの心を傷つけてしまって」
「そのことなんだけどさ、お前がそうやって責任を感じるほど、今回のことで俺は傷ついちゃいないから」
「嘘……」
「雅輝に嘘なんかつかねぇよ。仮についたところで、一銭の得にもならないだろ?」
つらそうに眉根を寄せて自分を見つめる宮本の頭を、これでもかとぐちゃぐちゃに撫でてやる。
「陽さん、俺がこれ以上落ち込まないように考えて、無理してるでしょ」
「案外、めんどくさい男だな。俺、そういうの嫌いだぞ」
「俺を嫌いになって陽さんが楽になるのなら、それでも――」
宮本の頭を撫でていた手を使って、自分を見るように髪の毛を強引に鷲掴みした。
「お前の言う通りにして、このまま嫌いになってもいいのか? 雅輝の気持ちは、そんなに軽いものなのかよ?」
橋本の問いかけに、宮本のたれ目がカッと見開かれた。強い光を放つ眼差しから、視線を逸らすことができない。
「俺はもう嫌なんです。自分のせいで、好きな人が傷つく姿を見たくない!」
「さっきも言ったろ、俺は全然傷ついちゃいないって。むしろ気を遣いまくって、変な態度をとられることがショックだぞ」
「そんな……。俺、どうすればいいの?」
髪の毛を掴む手を外すと、宮本は頭を抱えてふさぎ込んだ。
「くだらないことで、いちいち深く悩むなって。そうやって悩んでると、いつまで経っても結婚できないんじゃないか」
無駄なことで悩む恋人をどうにかしたかったのと、結婚について榊と喋った経緯が橋本にあったからこそ、結婚という二文字が飛び出てしまった。
「結婚?」
聞き慣れないワードに反応するなり、目を何度も瞬かせる。
自分に気を遣って顔色を窺う宮本が、唐突に出てきた結婚という話題に、ふたたび困惑するのが想像ついた。
「……俺としては陽さんと結婚したいと考えてるので、悩むなんてことはしないです」
「( ゚∀゚)・∵ブハッ!」
いきなり繰り出された宮本のストレートに、橋本は思いっきり吹き出した。
「陽さん、大丈夫ですか? 変なことを言ったつもりはないんですけど。もしかして嫌だったとか?」
「へへへ変なことじゃないと思う、うん。それに嫌じゃない、大丈夫だ!」
(ヤバい。雅輝は無自覚で、ストレートな言葉をぶちかましてくる男だった。下手な計算をしない分だけ、衝撃が半端ない――)
頬の熱を感じながら、上擦った声で当たり障りのない返事をしてみる。
「だったら、俺と結婚してください」
「(゚Д゚)、;'.・グハァ」
いきなりプロポーズされた衝撃に耐えきれなくなり、口元を両手で押さえて顔を俯かせた。
「陽さん?」
「……どうしてこのタイミングで、そんなことを言い出した?」
「それは――その……。今日4人で、三笠山に行ったじゃないですか」
「ああ、そうだな」
橋本の問いかけに、宮本はぽつぽつと言葉を繋いでいく。
「和臣さんを助手席に乗せて峠を下っていきながら、陽さんたちをバックミラーでちゃっかり見てました」
「うん……」
「キョウスケさんは、結婚しているのが分かっているけど、えっと……。陽さんと並んでる姿は、俺よりもお似合いだなと思ってしまって」
「何を言い出すかと思ったら、お似合いなわけないだろうに。アイツの隣に似合うのは、和臣くんだけだろ」
「でも俺の目にはふたりが並んでる姿が、しっくりきてしまったんです! 何ていうか、紳士服専門店のモデルみたいに見えてしまったというか」
ツッコミどころ満載な宮本の言葉に「なんだそりゃ?」と言いかけて、言葉をくっと飲み込んだ。好きだった男と並んでるところを見て、不安にならない恋人はいないことに気がついたから。
「……雅輝それって、ただ妬いてるだけだろ?」
間違いなく、確信をついていると思う言葉を告げてやった。
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