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Love is in danger3
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上目遣いで顔色を窺う橋本の視線に気がつき、宮本はすっと顎を引く。
「妬いちゃ駄目ですか?」
「いや……。俺がお前の立場だったら、同じように妬くと思うし」
「そんな些細なことで不安定になる、俺からのプロポーズは受けられないのでしょうか?」
告げられたセリフを聞きくなり、素早く首を横に振ってみせた。
「そんなことねぇって。ただ、相手が俺でいいのかなと思ってさ」
「陽さん以外ありえないです。というか、俺でいいのでしょうか?」
「自分からプロポーズしておいて、それはないだろ」
見るからに不安そうな表情で告げた宮本の言葉を聞くなり、橋本は盛大に笑った。
「雅輝、覚えてるか? ご褒美のこと」
「ご褒美ってキョウスケさんたちに逢う前に、頑張って落ち着かせたヤツですよね?」
「そう、それ。今からイチャイチャしてやろうか」
「あとにしてくれませんか。今はそれどころじゃないので」
視線を縫い付けるように橋本を見つめる宮本の眼差しから、誤魔化すことができないことを瞬時に理解した。
「本当に、面倒くさい男だな……」
「すみません」
「お前のことじゃねぇよ、俺自身のことさ」
橋本は困惑を示した目つきで宮本を見つめ返し、小さなため息を吐いた。
「雅輝の真剣な気持ちに向き合いたいって思ってるのに、もうひとりの俺がそれを阻むんだ。もっと現実を見ろってな」
「現実?」
「ああ。付き合うことに関してはふたりの問題だけどさ、結婚となるとそうはいかないだろ。お前の場合、弟が親に挨拶したのを見てるから、大体分かってるだろうけど」
淡々と語る言葉に宮本は瞼を伏せて、橋本から注がれる視線を外した。
「分かってますよ、嫌というくらいに。だけど俺は……、せっかく好きになった運命の人を、どうしても諦めたくないんですっ」
「運命の人なんて大げさな。もしかしたらこのあと、もっといいヤツが現れるかもしれないだろ」
「陽さんは俺を捨てて、もっといいヤツと付き合うんですか?」
冗談めかした橋本のセリフを聞き、宮本は伏せていた瞼を上げながら即座に返事をした。
「落ち着けって、これはたとえ話だ。それにどんなヤツが現れても、お前以外の男と付き合うつもりはない、安心しろ。ただな――」
語尾にいくにしたがって、声のトーンがどんどん落ちてしまう。
「はい……」
「雅輝、お前はまだ若い。俺にはもったいないくらい、いい男だと思う。俺のような30過ぎの中年に引っかかってるよりも、男女問わずに若くていいヤツがいるかもしれないだろ」
「陽さんは俺が嫌いなの? 結婚したくないから、俺が困るようなそんなことを言ってるんでしょ?」
「違うんだ。俺がこのまま歳を食って、どうしようもない男に成り下がったとき、お前に見限られるのがすっげぇ怖いだけ……」
そんなことに怯える自分が情けないと思う上に、捨てられてひとりきりになったときのことを考えたら、どうしようもない不安に苛まれてしまうことが容易に想像ついた。
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