アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
17*日崎の回想
-
オレには兄がいる。
そして兄には秘密がある。
兄以外にはオレしか知らない、親にさえ秘密にしていること。
それは、兄がゲイであると言うこと。
それを教えてもらったのはオレが中学3年、兄がこの高校の2年だったときのことだった──
オレがその日塾から帰ってきたのは11時半を回っていた。なんとなく遠回りをしていたから。
親は両方寝ていて、寝室からはなんの光も出ていなかった。
疲れたしオレも早く寝たかったから、シャワーだけ浴びて自分の部屋へ向かおうと思ってた。
でもオレは自分の部屋の向かいから光が漏れているのに気づいた。
兄ちゃん──?兄ちゃんがこんな時間まで起きてるの珍しいな。
電気消し忘れてるのかも、と思って部屋に近づいたときに、聞こえてしまった。
兄ちゃんの嗚咽と、鼻をすする音が。
「──泣いてる?」
立ち入るか立ち入らないかドアの前で迷っていると、俺の気配に気づいたらしく、兄ちゃんがおいでと手招きをした。
窓から見える月が青くて綺麗な夜だった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
17 / 71