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20*日崎side
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意識が笑いの渦中に引き戻される。
「俺も知ってる、それ!なんかこの間帰り道でキスしてるの見たぜ」
「え、マジで?w」
男とキスとか絶対できないって誰かが笑いながら言った。
──それが兄ちゃんのしたかったことなのに。
兄ちゃんを馬鹿にすんな。お前らのそういう感覚が兄ちゃんを、兄ちゃんみたいな人たちを苦しめるんだよ…!
──唐突に、オレに1つの興味が浮かんだ。
「オレはできるよ、男とキスだって──人によるけど」
「は?絶対嘘だろw 人によるって誰とならできるんだよ」
ちなみに俺は嫌だからな──ってオレからもお断りだわ。そんな悪口をおやつにするようなやつ。そう、オレが抱いた興味は──
北田はキスされたらどんな反応するだろう。
びっくりするのかな。そりゃびっくりするよな。そのあと照れたりするのかな。初めてなのかな。北田はオレを拒絶するようになるのかな。ううん、北田はそんなことしない、うん。そんなことしないはず。
第一、キスなんて人生で何度もするものだし?減るもんじゃないし──
俺はさっきまで鎖で縛られていたかのように立てなかった椅子から勢いよく立ち上がり、斜め後ろを向いて歩きだした。
北田となら、できる。北田はオレを拒まないはずだから。
おい、逃げんのかよっていう後ろからの声は聞こえない。
もうすでに、オレの世界にはオレと北田しかいないから。
北田は机に伏せて寝ていた。
近寄るなオーラをオレは平気で破っていく。
北田の隣に立つ。
「北田──」
「ん、なに──っ!?」
熱気とセミの声をはらんだ風がカーテンとオレらの髪を揺らした。
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