アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
28
-
リビングに行って体温計で熱を測るとしっかり38度あった。
5時だけど二度寝なんてできそうにないし、ソファーでぼーっとしていた。
6時になって起きてきた母や姉たちには、ただただ呆れられた。
「馬鹿は風邪引かないんじゃないの?」
「真菜に言われたくない」
椅子の上で三角座りをしてスマホを触ってるこれは下の姉。たぶん俺よりテストの点数やばい。そのくせ運だけは良くて、大学も受かりやがった。ちなみに真菜に敬称はつけない。敬ってないから。
「お姉ちゃんも怒ってやってよ」
「友達とずぶ濡れになる~みたいなの、青春ぽいけどさ、ちゃんと考えて行動しなよ」
「…はい」
姉弟3人分のコーンポタージュを作ってくれているのは上の姉の真未。一昨年大学を卒業して、今は夢だった出版社に勤めている。こっちは姉ちゃんって呼ぶ。敬ってるから。
「お母さんパート2時までだからお弁当おいとくし食べてね」
「行ってらっしゃい」
ぱたん、とドアが閉まる音と、ガチャ、と鍵が閉まる音が聞こえて、ようやく一人になった。
なんか風邪引くと無性に寂しくなるなぁ。家に一人なんて珍しくもないのに。
そういえば、日崎は風邪引いてないかな。馬鹿の俺が引いたんだし、馬鹿じゃない日崎も引いててもおかしくない。
──と思ってラインを見たけど、俺の「今日学校休む。風邪引いた」に「まじ?お大事に」という返信が来てただけだった。
気づいたら12時を回っていて、いつの間にかベッドで寝てしまっていたみたいだった。
ベッドに座り、一人で食べる玉子焼きの味が薄く感じるのは風邪のせいなのか、それとも隣の空白のせいなのか。
今だって真ん中に座れば良いのに、左端に寄っている。
「誰のための余白だよ……」
思わず苦笑して、味の薄いごはんを食べきる。
食欲は失せてない。さすが食べ盛り。
口に残るミートボールの味をペットボトルの水で押し流し、また眠りについた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
28 / 71