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31*日崎side
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北田の部屋は思ってたより散らかっていて。
でもベッド脇に立てかけられたギターの周りはとても綺麗に整頓されていて。
そして、北田の匂いがした。
熱に犯された北田はベッドの上で脱力していて、目はとろんとしていた。
──北田相手に興奮している自分がいた。
オレを見つめる北田の瞳も、オレと同じように熱っぽいのは風邪だからなのだろうか。
ううん、違うはず。
あんなにも無邪気で、それでいて煽るような目でオレに触れてくれたんだもん。
「今日はもう帰って」
そう言いながらも顔は寂しそうで、"今日は"ということはまた来ても良いということで。
オレは浮かれて家までスキップした。
いつもよりオレに甘える北田に「可愛い」なんて感情を抱くことも、いたずらしてみたくなるのも、何もかもがオレにとっては不可解だった。
いや、ほんとは分かっているのかもしれない。頭が認めないだけで。
それを「北田のことを知りたい」っていう、似ているけれど核心はついていない感情でごまかしているだけなのかもしれない。
「あー、もうわかんねえ!」
ベッドの上に大の字になって思考を放棄する。
今オレにとって大事なのは、北田のせいで昂ったこの熱をどう処理するか、だけである。
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