アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
44
-
スマホを開けると、初期設定の壁紙の上にラインの通知が踊っていた。
相田さんかなと期待して開けたら──
≪かわいくね?≫
ドラムの前川だった。
バンドのグループラインに送られてきたエサを頬張るハリネズミの写真。
≪前川がそういうの好きなの意外≫
そういえばアイコンも白いポメラニアンだったよな。
筋肉あって、とてもじゃないけど優しい顔とは言いがたい前川がハリネズミを愛でている姿はどう想像しても笑えてしまう。
≪あー、北田は知らないかもしれないけど 前川の家、ふれあい動物園みたいな感じだぞ≫
そうか、橋元は前川と幼馴染みなんだっけ。
少しずつ前川や橋元のこともわかってきた。もちろん、まだまだ新発見は尽きないけど。
≪かわいいのいっぱいいるよー、今週の日曜うち来る?≫
≪良いの?行きたい!≫
日崎の名前が突然現れて≪行ってみたい≫と打とうとした人差し指が止まる。
「あーもう、俺どうしたんだろ…」
こんなに人のことについて考えたり、悩んだりしたことはなかったのに。相田さんに関しても、日崎に関しても。
何度紳士的に退出していただくよう誘導しても、何度強めに蹴飛ばしても頭に戻ってくる相田さんと日崎と、『好き』という言葉。
「もう今日は寝よ…」
これ以上考えてもなんにもならないし、もっと困るだけだ。
≪俺も行きたい≫
とだけ送ってからベッドに入った。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
44 / 71