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「おはよー」
「お、おはよ」
日崎を直視できない。
朝の夢を思い出して、夢の内容とその夢の中で日崎を求めた自分を思い出して恥ずかしくなるから。
夢というものは自分の願望を反映しているそうな。──ということは。
いや、ないない。
日崎にキスされても嫌じゃなかったし、風邪引いたときは気持ちいいとまで感じた。
だけど、俺は今までごく普通の男子として人生を歩んできた。
女子の仕草とか顔とかかわいいと思う──相田さんとか。
健全な男子高校生として、まあそういうサイトにお世話にもなっている。
同性愛とかに嫌悪感はないけれど、どこか別の世界の話だと思っていたし、今もそう思っている節はある。
なのになんで──夢から醒めたときに、夢がもっと続いてほしかったのに、って思ったんだろう。
「北田くん、おはよう」
「あ、おはよう」
相田さんの声で意識が今の教室に戻ってきた。
相田さんは微笑んで俺の机の前を通りすぎた。
黒髪がふわりと揺れてほのかにシャンプーの匂いを散らした。──あれ?
「髪の毛、切った?」
声をかけられたときから感じていた違和感。
前まで肩までついていたような……。
「うん、切ったよ」
気づいてくれて嬉しい、とはにかんだ。
「似合ってる」
姉がいてよかった、とつくづく感じる。17年にわたって女性を褒める正解を教育され続けたから。
もちろんこの言葉は本心なんだけど。
「ありがとう」
相田さんは一瞬驚いてから今までで一番の笑顔を見せた。
「ふあーぁ……」
ベンチにもたれてあくびをひとつ。
「寝不足?珍しいじゃん」
「え、まあ……」
誰のせいだよ──って、よく考えなくても日崎は悪くないな。
でも、あんな夢見たのはあんな経験があったからだよな?
じゃあ──
「日崎のせい」
「え、オレ!?」
日崎はしばらく自らの言動を思い返して、悩んでいるようだった。
──俺が日崎のことでこんなに悩んでるんだから、少しはやり返せたかもしれない。
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