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51*日崎side
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今日はじいちゃんの米寿の祝いとかで、昼飯を一緒に食べる。
だから、≪夕方からしか練習できない≫とラインした。
本当は夕方駆けつけるのも大変なスケジュールだけど、ここのところ毎日会っていたおかげで1日会わないだけで不自然な気がしてしまう。
──北田体操も皆勤賞とりたいし。普段カメラを向けても『カメラ写り悪いから』と言って隠されるから、北田の写真は結構ほしい。
スマホをポケットに入れるその手に北田の掌を思い出せる。今まで女の子の手を握ったことはあったけど、全然違う。全く柔らかくないし、オレと比べてそんなに小さくない。
あの力強いギターを奏でてるのにふさわしい、硬くて薄い手。
でも、可愛いと思えてしまう。
甘えて繋いでるところも、力加減がわからないのかぎゅって強く握りしめるところも、速いテンポでドクドクしてる手のひらも。
本人は自覚しているのかわからないけど、繋いでほしそうにしている時が一番かわいい。
耳を赤らめて、目線は斜め下に向けて『引っ張って』と素っ気なく手を差し出してくる。
きっと繋いでるときの顔はお互い真っ赤だと思う。だから後ろは向かない。
──なあ、北田。お前はオレのことどう思ってんの?ただの友達?親友?
北田が最近オレに『引っ張って』って言うのは、しんどいからじゃなくて手を繋ぐ口実だと思うんだけど、気のせい?
手のひらから伝わる熱が熱くて、ドキドキしてるのも、暑さのせい?
キスしたのがオレじゃなくて、例えば前川とか橋元でも北田は嫌じゃなかったの?あんな──熱っぽくてエロい顔すんの?
「やば、勃ちそ……」
キスしたときの濡れた瞳を思い出しただけでこうなるオレこそ、北田のことどう思ってんの?
「舌入れたりしたら、それ以上のことしたら……北田はどんな顔するんだろ」
今のところは友達と設定してる北田と"それ以上"を考えられるオレは──。
「さすがにもう認めなきゃ……」
でも北田には相田さんっていう良い子がいて、そこが結ばれたらお似合いだし、周りも祝ってくれる。
そう考えるとどうしようもなく悔しくて、虚しくて、もう何がなんだか分からなくなって涙が出てきた。
苦しいのに、北田の声を思い出すと無条件に笑みがこぼれる。
──辛くて、苦しくて、それでも光り輝いてるもの。
こういうことなのかなぁ。
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