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偶然を装った出会い
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「あれ?一生と栗林君だ~」
そう言ってきたのは、あのムカつく奴高橋幸久だった。
少しニヤニヤしていることから、わざと声をかけたことがすぐに分かった。でも先輩は気づい内容で、ぱあっと明るい顔になった。
「珍しい組み合わせだね、ねえ栗林君?」
いちいち俺に突っかかってくるところが憎たらしい。
ほんとになんなんだよこいつ。
「で、どうして幸久がこんなとこにいんの?」
「服を見に来たんだよ、てか、服屋に来る理由ってそれ以外にあるの?」
そう言って高橋幸久はべたべたと先輩の肩に触れる。そしていちいちこっちを見てくる。
「今先輩とデート中なんで、どっか行ってくれませんか?」
邪魔だから早くどけよ。
そう言うと相手は裏の言葉を察したのか、ますます黒い笑いになっていく。
「へえ、デートなんだ?」
大きめの声で言ったせいで、周りにいた客がちらちらとこっちを見てくる。
「違うし」
当たり前のように先輩はそれを否定してくる。
そんなことはしょっちゅうあるけど、なんか気に入らない。
というか、相手は絶対に偶然を装っている!
俺の先輩を舐めるように見やがって!
先輩を見ると、楽しそうに高橋幸久と世間話をしている。
つい頭に血が上り、先輩の腕を取る。
「先輩次の店行きましょ!」
「あ、ちょっと…幸久すまん」
先輩はすぐにそいつに別れを言い、俺の後についてきた。
やばいっ
先輩超かわいい!!
ちらっと高橋幸久を見ると、相手も俺を見ていたのかパチッと目があった。
するとそいつは、俺に向かって投げキッスをしてにやりと笑った。
あいつマジでキモイ。てか、今すぐ消えてほしい…俺と先輩の未来のために。
小さなため息を吐き、先輩を掴んでいる手を強く握った。
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