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1始まりの呪い
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理不尽なまでの現実により
失った仲間
奪われた命
他の命を奪うことにより
救った命
そして得た
「君達は私の大切な家族だ」
家族を守るために
「特級呪霊両面宿儺を顕現させる」
「ここか」
病院の前に立つ
僧衣と和装の様な衣装の男
「ここに宿儺の指を受肉出来る人物がいる」
「そうか」
大して興味もなさそうな脹相
「いざとなったら頼むよ脹相」
「任せろ」
全ては
「弟たちのためだ」
「あ、すみません!」
男の隣を駆けていく少年
「来た!」
帳を下ろす
「さて、始めようか」
呪霊を送り込む
「じいちゃん」
いつものように病室を訪れた悠二の目に写ったもの
「ゆ…じ…逃げろ」
「ゆーじぃ」
「ゆーじぃ」
呪霊に巻き込まれた祖父の姿
「じ、じいちゃん!」
呪霊に掴みかかるもあっさりと投げ飛ばされ
「がはっ!」
壁に叩きつけられる
「…あれ?」
病室にのんびりと現れた僧衣の男
「どうした?夏油」
夏油は手にした指を弄りながら首を傾げる
「いや、私が使役している呪霊にしては強いなと」
ゴキッ
鈍い音がし悠二の頭から血が吹き出す
「やばくないか?」
「これの影響か?」
指を見て呟く夏油に
「あのガキ死…」
ズキィイン
「がっ!」
急に頭を押さえる脹相
「どうした?」
「あ…ああ…」
「兄ちゃん」
あるはずの無い記憶
9人の弟たちと共にいる
「あいつも俺の弟だ!」
「…へ?」
夏油から指を奪い
悠二に渡す
「悠二。お前が助かる方法だ」
「へ?誰?」
「通りすがりのお前のお兄ちゃんだ」
「それこそ誰?」
「こいつを取り込め。あの呪霊を倒せる方法だ」
悠二を庇いながら脹相が促す
「脹相!」
勝手なことを
と怒鳴りかけたが
「このまま様子を見るか」
物陰に隠れた
「なああんた。これ食ったらじいちゃんを助けられる?」
指を見つめる
「それは断言できない。ただこの状況は打破できる」
悠二を抱え呪霊の攻撃をかわす
「ゆ…じ…ぃ」
微かに聞こえる祖父の声
「…っじいちゃん!」
自分を守る脹相から離れ
「悠二!」
脹相が振り返った瞬間
ドスッ
脹相の腹を呪霊が貫く
「あんた!」
「大丈夫…」
腹部を押さえ
「お兄ちゃんだから」
「いや意味わかんねーし…」
呪霊と向き合う
「にげ…」
「これ食ったら良いんだよな…」
「ああ」
「そうだよ」
いきなり現れた人物に驚くも
「分かった」
指を呑み込んだ
「…本当に呑み込んだ」
呑み込んだ後
一瞬にして変わる空気
「凄い…受肉した」
宿儺が現れた
「はぁ…何なんだこいつ」
受肉した上に自我も保てる貴重な存在に
「素晴らしい!」
夏油は拍手する
「はぁ…あっ!じいちゃん!」
慌てて祖父に駆け寄る
「じいちゃん!じいちゃん!」
「うるさい…」
祖父は悠二を小突き
「ついでに坊主も早いわ馬鹿者」
「あ…本当だ。すみません。まだお坊さんは早いです」
夏油を病室から追い出す
「だそうだ。俺は弟の側に居る」
そのまま残ろうとする脹相も
「すみません。俺一人っ子です」
追い出した
翌日
「また来てる…」
祖父のベッドの側に座る脹相
「夏油は来てない。お兄ちゃんとしてお前の大事な人を守ってた」
「はあ…」
祖父を見れば祖父はいつもの仏頂面で
「まあ、俺が死んでもお兄さんに頼ればいいな」
ポツリと呟く
「嫌だよ!こんな怪しい人!」
「怪しい人じゃない。お兄ちゃんだ」
「虎杖悠二君」
病院の帰り道
「あ、お坊さん」
夏油が声をかける
「体の調子はどう?」
公園のベンチで缶コーヒーを飲みながら話す
「特にどうもないです」
「良かった。おじいさんも変わり無いね。脹相が話し相手になってるらしいね」
「あの人何なんすか。いきなり兄弟だって言うし」
「うーん。私も良くわからないんだよ」
困ったように笑う
「所で君に会いに来たのは他でもない」
ミイラ化した指を差し出す
「君はこの指を取り込んだことによってとある組織から狙われることになった」
「うぇええ?」
「もったいないよね。特級呪物両面宿儺の指を受肉できて更に自我を保てる貴重な存在なのに」
「はあ…」
受け取った指を弄ぶ
「これから君は死ぬか生きるかの選択を迫られる」
「夏油さんはどっち何すか?」
「私は君を死なせたくない」
にこりと笑う
「霊も見えなかった無能力な猿は嫌いだが、宿儺の器である君は特別な猿だ」
「はっきり言うなあ…」
苦笑する
「あの脹相も君を気にいっているみたいだし、私の元で鍛えたら良いんじゃないか?」
これから来る理想の世界を作るために
「代わりに私達は君を守り、宿儺の指を集めるよ」
「じゃあ…」
答えを出そうとした悠二に
「悠二。おじいさんが呼んでる」
脹相が呼びに来た
「脹相…」
「仕方ないだろう。おじいさんが呼んでいるんだから」
「じいちゃん何?」
「ああ…」
祖父はそっぽを向いたまま
「お前は強い……お前は沢山の人に囲まれて死ね。俺みたいにはなるなよ」
「じいちゃん?」
祖父に近付き
ナースコールを手にする
「悠二」
上を向いたまま涙を滲ませる悠二に脹相が寄り添う
「じいちゃん…死にました」
「夏油さん坊さんなのにお経読めないの?」
「うん。こんな格好はしているけど坊主じゃないからね」
笑いながら遺骨を集める悠二と脹相を見守る
「そう言えば返事をしてなかったね」
「ああ。君もそれどころじゃなかったし」
一旦返された指を受け取る
「俺がこれ食ったら助かる人もいるんだろ?」
「ああ。君もだ」
家族のためにも
指を呑み込む
ざわっ
悠二の顔に模様が浮かぶ
身構える夏油だが
「まっじー!すげえ不味い!」
おえっと舌を出す
「ふふ…」
「流石俺の弟だ」
無表情な脹相がわずかに微笑む
「いや俺あんたの弟じゃないし」
「改めてよろしく悠二。私は夏油傑。こちらは特級呪物受胎九相図の受肉したモノ。名前は脹相」
「よろしく夏油先生。脹相」
手を差し出す
「先生?」
「色々教えてくれるんでしょう?だから先生」
屈託なく笑う悠二に
「まあ、それも良いかもね」
悠二の頭をくしゃりと撫でる
「じゃあ行こうか、いたど…悠二」
「うっす!」
「俺のことはお兄ちゃんて呼んで良いから。ほら、呼んでみ。お兄ちゃんて」
「何でだよ!」
1ヶ月後
「この時代はあり得ないことばかり起きる」
「六眼、五条悟の誕生」
「特級呪物受胎九相図のひとつが受肉」
「そして特級呪物両面宿儺の受肉」
「受肉したのは虎杖悠二。まだ中学生だ」
「そんな子供が宿儺を取り込んだのか!」
「もう3本呑み込んだと連絡が来ている」
「そいつを匿っている組織は?」
「分からん。それを調べている最中に殺された」
ざわざわと騒ぐ呪術界の重鎮達
その真ん中に立つ人物
「あの~、僕を呼び出した理由って何?」
片手をあげ笑いかける
「五条。貴様心当たりが無いとは言わせんぞ」
「乙骨憂太の秘匿死刑の猶予中であることを忘れてはいないだろうな」
「忘れてはいませんよ。それより宿儺が復活したんですか?」
興味津々の悟に
「完全には復活してはいない」
「今なら間に合う」
「つまり虎杖悠二も殺せと?」
スマホに送られた写真
「そうだ。宿儺が復活するまでに殺せ!」
「ったく!僕は殺人マシーンじゃねえっての!」
上層部からの理不尽な命令に悪態をつく
「それに今何処にいるかもわかんないじゃん」
「しゅっ!」
「ふっ!」
繰り出す拳を受け止め
蹴りを出すも寸止めで脹相は引く
「体術も悪くない。生まれついての武術に優れた肉体だな。流石俺の弟だ」
「いや弟じゃねーし」
「これなら多少の呪術師や呪霊には勝てる」
「っしゃ!」
「だが、その程度だ」
「………」
明らかにしょんぼりとした悠二の頭を撫でる
「そんなに落ち込む事じゃない。今お前の中には宿儺が居る」
「それが?」
「お前は非術師から術師の才能を持った素人になった。俺が教えてやる」
「ありがとな!あ、でも夏油先生も教えてくれるって言ってた」
無人の古民家に連れてこられ1週間
脹相と2人きりで過ごしていた
水道、電気、ガス、食料もあり
不自由はしていないが
夏油が来ることはなく
脹相と2人きりで過ごしていた
「あいつは宿儺の指が見つかるまでは来ない」
「悠二に会わなくて良いのか?」
脹相には頻繁に連絡を入れ会うも
悠二の居る部屋には行こうとしない
しかも仲間にも会わせない
「猿は嫌いなんだ。それにいつ宿儺と変わるか分からない猿を大事な家族に会わせる訳には行かない」
「貴様が巻き込んだくせに」
ムッとした様子の脹相に
「だから君に預けている。兄弟なんだろう?」
頬を撫でる
「彼が生き延びる方法を教えてあげなよお兄ちゃん」
「お前の兄になった覚えはない」
自分の髪を弄る夏油に眉を寄せるもされるがままで
「うん…そだね。まああの子の事もちゃんと考えてるよ。宝の持ち腐れは良くない」
脹相の顔をなぞり服越しに胸を伝い下腹部をなぞる
「…っ!」
「それより君の調子はどうだい?しばらくしていないだろ?」
頬を紅潮させ震える脹相に
「我慢は良くない」
唇を重ねてくる
「ん…」
舌を受け入れそうになるが
すぐに引く
「どうした?欲しくないのか?」
抱き締めようとした夏油から離れる
「悠二が居る」
「だから?」
見られてもゲイだからと言えばいいし
興味を持てば脹相に相手をさせてもいい
「兄弟でやる時もある」
「悠二が求めるならやるが、兄としてこんな所は見られる訳には行かない」
「ふぅん」
鼻で笑い
「もう遅いかもね」
扉の隙間から自分達を覗く瞳と合った
「君は宿儺か?それとも悠二?」
続く
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