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出会い
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病弱な僕の目の前に現れたのは、真っ白くて長い髪をひとつに纏めた男の人。
着物を着ていて、酷く無愛想な顔をしていた。
背中に回って見てみたけれど、悪魔の羽も天使の羽も付いていない。頭には輪っかもついていない。
でも耳が尖っていて人間じゃない事だけは幼い僕にもわかった。
「おじさん、僕を迎えに来たの?」
「このクソガキ。お兄さんだろうが」
「あのね、先生が後半年好きなことをしなさいって。お母さんもお父さんも泣いてたから、きっと僕は死ぬんだよ。だからおじさんが来たんでしょ?」
「お前は賢い子だな」
しゃがみ込んで僕に目線を合わせてくれるおじさんは、そのときだけ優しく笑った。
その顔が本当に綺麗で綺麗で、ボロボロと大粒の涙が零れたんだ。
「悲しいか」
頭の上に乗った手はとても冷たかった。だけど、心臓がとても温かく脈打つんだ、ドクン、ドクンって元気に鳴るんだ。
そっか。
「おじさんは死神なんだね」
その言葉を口にすると、おじさんはとても悲しそうな顔をして、そうだとも違うとも言わずにニコリと微笑んだ。それはもう無愛想な顔が嘘みたいな優しい顔で……。
「お願いがあるんだ」
「なんだ、言ってみろ」
「僕の命を取ったら、その命をちょっとでも長く生きたい人にあげて」
「何を言って……」
「お願い!おじさん!」
両手を合わせて頭の上に掲げると、ため息をついて死神のおじさんは、わかった。と返事をしてくれた。
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