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01 はじまり
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俺バカだから、分かんねーことは深く考えずに頭いいヤツの言うこと聞いときゃいンだよって思ってた
これは、あんま深く考えずに目の前の人参欲しさにほいほい相手の言うこと聞いてたら後戻りできなくなったって話
―――
俺は織田怜王(おだれお)。母子家庭で仕事で家を空けがちな母ァちゃん。一人で過ごすうちにつるむやつは似たような境遇のヤツばっかになって、中学に上がる頃には立派なヤンキーよ。先輩ン家で染めてもらった金髪は伸びちまってプリンになっちまった。メンドクセーからこのままだけど。
別に勉強は出来なくてもいンだけどよ、やっぱ男として知っとかなきゃいけねーモンがあンだろ。
先輩みてーに背が高けりゃナンパしてもカッコつくけどさ、俺が声かけてもカワイーって飴貰って終わり。なんだそりゃ。
そんなワケで先輩には女遊びに連れてってくんなくなったしよ。
背はこれから伸びるとして、あとはどうやったら女こませるかってハナシだ。
そこで同じクラスの朝倉に目を付けた。
とにかくこいつはモテまくる。身長は高校生並みにデカイ。ハーフパンツの体操服着るとギャグかよってくらい似合ってない。
さらに1年だってのに生徒会のメンバーで風紀委員長まで務めてやがる。朝礼かなんかで話すアイツの話し方はまるで校長センセみたいに大人だった。
それに今年のバレンタイン、女子からたくさんチョコ貰ってンのは当たり前として、受け取り方とか、告白の断り方もなんかいちいち大人っぽいというか、何かのテレビドラマに出てくる俳優みてー。
こいつを使えば女ぐらい楽に食えンじゃねーかなって思い立ったワケだ。
そんで土曜の半ドンの放課後、部活も委員会もないのを確認済みで朝倉を呼び止める。
「オイ、ちょお面貸せよ」
顎で着いてくるように誘うと、朝倉はにっこり笑って何も聞かずに立ち上がって後ろに付いてきた。旧校舎の今は使われていない部活棟まで来ると、壊れた窓から中へ入る。
俺が苦労してよじ登った窓も朝倉は少し腰かけて跨ぐようにして飛び越えて入った。嫌な奴。
運動部が昔使っていたらしく、硬いけど寝ころべるマットレスや、ミニ冷蔵庫迄ある。この場所は、先輩が卒業するからって譲ってくれた俺のサボリ場。そこへ朝倉を呼び込む。
「お前ェにちょっと頼みがあンだけどよ」
近寄ってメンチ切ろうとしても朝倉の背が高すぎて下から見上げる事しかできない。
「ブッ、クク・・・!ダメだ、可愛い。あはははは」
朝倉は急に前屈みになって口元とお腹を押さえて大笑いし始める。
「テメェ・・・何イキナリ笑ってンだ、ァア!?」
「あはは、ご、ごめん。ごめん。いや、つい、・・・はぁ」
何とか笑いを抑えた朝倉は近くのパイプ椅子に座ると笑い過ぎて出たのであろう涙を指先で拭い、俺の方を向いた。
あんまり気にしても仕方ねェと、呼び出したわけを説明した。
「・・・・。なるほど。要は女の子にモテて付き合ったりしたいって事か」
「違っげぇよ!別に付き合いたかねーけどよ、やっぱもうヤっとかなきゃ、なんかダセーだろ?だからお前の女一人ちょっと貸せよ」
「あ、ダメだよ。そんな風に言っちゃ。女の子は大切に扱わないと。大事にすればその分いっぱい良い思いが出来るんだよ」
ほんとかよ。
とりあえずいろいろまとめてくるからまた後日改めてとか言って、スマホで連絡先交換してその日は解散。ひとまずモテ男と知り合いになれたってのはデカイ進歩だよな。
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