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失礼、と彼を残して僕は、公園の、やたらファンシーなトイレに向かう。乱暴に顔を洗い、鏡をよく見る。外で未成年を一人にしておくのは危険だが、気持ちが落ち着かないまま、中途半端な状態で倫太郎のもとに戻っても、また彼が僕を心配するだけだ。
ようやく深く呼吸も出来るようになって、彼の待っているはずの公園のベンチまで行くと、そこに姿はなかった。
「倫太郎」
呼べばすぐ来た。うっすら汗をかいて、墓場のほうから走ってやってきた。
「何してたんだ」
「うん? 悪霊退散ダンス」
当たり前にまた手を繋いで、帰宅した。
一人では歩けない。
───
「祝! 死体のない散歩」
「……………」
「おれすごくない? おれ偉くない? 先にあんだけ死んだのいるとこに出掛けとけばさあ、それ以上死体出なくない? うわあすげえ名案。天才。大天才、おれ」
さすがにもう彼は帰らねばならず、興奮している倫太郎と共に、縁側で月明かりに照らされる。シヅさんが彼の運転手を呼ぼうとしたところ、今運転手とは喧嘩中だからやだとのたまって、即座に自分でタクシーを呼んだ。なので、こうして待っているという次第だ。
得体の知れない車に乗るなと危険性を説いたら、少年は腹を抱えて笑った。そんな名探偵みたいなこと、おれに起きるわけないじゃん。
「あれでしょ、いつもの運転手かと思ったら犯人でした、的な。そんでそのまま誘拐からのデスゲーム。しゅばばっ」
「立場を理解しなさい。そもそもなんで君に専属で運転手がいると思ってるんだ」
「目解家の次期当主。おれってそんなにそれ背負わなきゃ駄目かな」
「……………心配してしまうんだよ」
「礼介くん」
「うん」
「本当はおれが来るの、やだ?」
叱られるのが嫌で、話題を変えたのかと思った。まっすぐにこちらを見つめる表情を見る限り、彼の中で筋は通っているらしい。また服は裏返されて、青いストライプ。おとなしくなった彼の髪を撫でる。
考えてから、言葉を発した。
「…………………来ないでほしいとは思ってる」
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