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振り出しに戻る、といった感で、僕はまた警察署の前にいる。まさか警官になりたいわけでもないのに、罫は意気揚々としており、気後れする僕を引っ張って中へと乗り込んだ。
──手の熱さを覚えている。
「自首しに来たのか」
「失礼な」
鬼川警部にも怯むことなく罫は毅然としていて、今朝僕の遭遇した悲劇の詳細を聞き出す。
「子供に教えることなんざねェよ。ほら、帰った帰った」
最初は鬼の形相で凄んでいた警部も、罫の粘り強さや快活な冗談に懐柔され、次第に眉間の皺を緩めていった。
「じゃあこれだけ教えてやる。どうせ明日の新聞にも出ることだ。あの死体はな、凍死だよ」
僕と罫は、顔を見合わせた。
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