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人生上、聞きなれない単語で罵倒され、まっすぐに見下ろされて、僕は硬直した。
待ってたんですけどもう小一時間経過しておりますけど、なんだよ誘い下手かよこれだから童貞は。
矢継ぎ早に文句を言い、倫太郎は叫ぶ。
「今日他に話すことあるよね?!」
「大声出さなくても聞こえてるよ」
「気まずい!」
気まずいよぉああ気まずいよ、とまた踊る。手拍子をしたら怒られた。
「名探偵はね、さて、で始めるか、ところで、って始めるかなんだよ」
「なにを?」
「謎解き」
まっすぐに僕を見つめる子供は、僕より先に決意をしていた。まだ気付かないふりでいたかったけどな。そうすれば、物語は終わらなくて済んだのに。
「倫太郎」
「うん」
「本名なんだね」
「…………うん」
意外といい線いってたと思うんだけどなあ。子供はフラフラ揺れて、くるくる回る。ちゃんと家訓も言えたし。嘘つくの上手に出来たし。どこで失敗したかなあ。
「うちの兄を知らないなんてことはね、あり得ないんだよ」
「うっわー、やっぱそこか。やっぱね。いや、あんときもヤッベェとは思いましたがね。しくったぁ。頭にいれておくべきですよね。家系図はね」
「下調べは重要だよ」
「うーん、でもさでもさ、それまでは思ってなかったでしょ? 今回の替え玉事件。最初は疑えなかったっしょ?」
「そうでもないよ」
君が目解幸多でないことはとっくに知っていたのだと打ち明けると、倫太郎は動くのをピタリとやめ、無表情でこちらを見た。
「ダウト」
「嘘ではない」
「どこで気付いた?」
「………………ところで、」
君の母君は健在かと尋ねると、話をはぐらかすなと倫太郎は僕に怒った。
「はぐらかしてはいないよ。僕にとっては最大の重要事だ」
「なんで?」
「だって、この世で唯一愛した女性だ」
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