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「……………父親のほうを気にしろよ、名探偵」
わざとらしく盛大に溜め息をついて、倫太郎は呆れる。
「世紀の大犯罪者だぞ」
「もう名探偵じゃない」
「はいはい引きこもりガチニートさん。あのさあ、おれの存在って、貴方の物語にすっごく邪魔だと思うんだ」
「………………」
「全部失って悲しい名探偵、でよかったのに。おれと幸多の入れ替えだけ気づけばよかったのに。そしたらさあ、続いてたと思うよ? お外出るお外出ないの楽しい攻防戦。昔のこと思い出して悲しくなったりつらくなったりしなかったよね」
「……それはどうだろう」
「気付かないふりしてくれてたらよかったのに」
「そうもいかなくてね」
「いや、あんたが今言わなきゃよかったことなんだよ!」
「………………………」
「………………………」
「話したくない?」
「…………………………………………」
倫太郎はその場にしゃがみこんで、頭をかきむしる。
しばらくして、彼は、震災で、と小さく呟いた。
それだけで、────それだけが、────答えだ。
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