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高校を出たら海外の大学に行くことが決まっている幸多とは、いつか本当に終わりが来る。学校に行くだけで会えるとか、ほぼ毎日のLINEのやり取りとか、そういうの、あっけなくなくなってしまうんだろうなって、容易に想像出来る。
だるい。
エモいとか言ってらんないクソだる案件。でもおれだってやりたいことやるのに、幸多のそばにずっとはいられない。今だっていろんなこと隠してる。言うつもりないあれこれ。
夏休みだというのに幸多ちゃんてばお勉強をするので、おれはそれに付き合った。講演会。人を指導する立場で忘れてはいけないこと。さすが大金を稼ぐだけあって、講師の話は面白くてぐいぐい引き込まれる。でも反対側の面のおれは冷めている。あの講師を思い通りに操る方法をいくつか思いつく。
礼介くんにはなんのためらいもなくわがままに触ったり抱きしめたり出来るのに、幸多とは手を繋いだこともない。友達だから。ふざけてハグとか頭なでたりとかあるけど、本当なら抱きしめたい。チューしたい。だって男の子だもん。夏休みだもん。
パイプ椅子に並んで座ること小一時間、講演会が終わったあとの幸多はすっかり洗脳されてて、キラキラしてる。本人が笑顔なら、余計なこと言わんとこ。ディスカッションはやめて、ひたすら賛同賛辞。帰りは送ってもらった。幸多のお抱え運転手の鈴木さん。鈴木さんはすごい。気配消すのが上手い。でも話しかけたら楽しい。いいとこのバーテンダーとか、高級ホテルのフロントマンみたい。幸多も鈴木さんにはすっかり安心してて、本音をさらけだす。
礼介さんのところはどうですかと鈴木さんに聞かれて、おれはつつがなく、と答える。本当は誰にも言いたくなかったけど、さすがに鈴木さんは知っている。そして誰にも言わないでいてくれる。
「実は私も、以前助けていただいたことがございまして」
えっ、初耳。
驚いて、幸多のほうを見たら、隣に座ってる彼もポカンとしてた。あっ、可愛い。
「たいしたことではないのですけれど」
失せ物を見つけていただいたのです。鈴木さんは淡々と話す。
「え、え、じゃあ、名探偵だった頃の礼介くん知ってるってこと?」
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