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びゃんびゃん泣いたあとで第一波は急におさまって、おれは礼介くんに怒る。
「いや慰めろよ」
両手を広げる。理解出来ない、という表情で大人はおれを抱く。でも、いつもみたいにぎゅってしてくれない。仕方なく触れてる感じ。
「よく泣くなあ……」
サイコパスすぎん? でも本人は悪いとか思ってなさそう。わざと冷たくしてるわけでもなさそう。自動的に感情シャットダウンしてるんだ。動けなくなるから。息も出来なくなるから。おれ、それ知ってる。機械みたいになっちゃえば、効率がいい。つまり別名、絶望なわけで、おれは第二波の涙を流す。
会ったこともない人のためにそこまで泣けるのかと礼介くんはおれに問う。ううう……これは罫くんのために泣いてるっていうよりは、もうおれのキャパがいっぱいいっぱいで泣いてる感じ。急に呼び出されてビビったり、行き先におののいたり、でも大丈夫だったり、お父さんの面影、今の礼介くんを見て、とか、なんかもう全部ごちゃ混ぜで泣いてる。
冷たいことばっか言うなら、最初からおれ呼ばなきゃよかったじゃん。酷い。ここについてきたのはおれだけど。鉄火面。人非人。なんのための墓参り。今日の礼介くん、おかしいよ。外出るとか言うし。スーツだし。呼んだのに帰れとか言うし。情緒。情緒がもう。…………
グジャグジャ泣きながら文句を垂れる。ちゃんと日本語として伝わってるかも怪しい。君のせいだよ、と礼介くんは言った。なんでだよ。
「ひとりでいるのが、しんどかった」
礼介くんはおれの頭を撫でる。チューしたい。ハグとか頭撫でるとか、そんなんじゃちょっと、全然、足りない。
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