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ハグしてただけなのに噂になってて、それは幸多の耳にも届いて、うわあすごく嫌な感じ。
「おモテになりますなあ」
「とっかえひっかえですなあ」
「付き合ってんの? 付き合ってんの?」
ニヤニヤしてくる友達にうんざりして、おれはスピードをあげる。体育の長距離走。校外周回。息切れの嫌いな幸多様は、のろのろ組と一緒にテポテポあるってる。歩く速度で走ってる。可愛い。おサボりあそばしてる貴重なシーン。おけつ。腰。見てくださいあの腰。むっちむち。やっぱり、ああでなきゃ。
追いついた。速度を合わせる。
「あ、モテ男さんだ」
「ほんやめ、それ」
付き合ってないからね、と念押ししとく。付き合ってないのにイチャイチャするんだ……ってすーちんに言われたけど、別にイチャイチャしてるつもりはなかったので無視だ無視。
幸多の袖を引っ張って、のろのろ組からも離れた。
「付き合ってないので」
「うん。聞いた。何回も。それぼくに言うこと?」
脈なしさん太郎は言うことがシンプルにドギツい。
「……だって皆信じてくんねえもん」
「どうでもいいのにねえ」
朗らかに笑いあそばす。いや、ほんと、……きっつ。メンブレ。ギザギザハート。ちょっとは気にしてくれよ。
でもそっかあ、付き合わなかったんだ。残念。幸多がそんなことを言うもんだから、逆ギレしたくなる。
「なに、残念って」
「うちの倫太郎にもとうとう春が」
「何目線?」
「我が子を愛でる親目線」
昔はあんなにちいちゃかったのにねえ、など、ふざけだすので、可愛すぎてガン見の刑に処す。
「ふざけ。もー、幸多まで。おれネタじゃねんだけど」
「いや普通に。友達が幸せならぼくも幸せ」
「はあん? おれが女の子と付き合ってもいいんだ?」
「どうぞどうぞ」
ほん、とに。
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