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遭難
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……こんなとこ来なきゃよかった
初めにそう思ってから2日たった
その間100回は心の中で呟いた
こんなクソ田舎の山中で遭難するなんて
どこに行けばいいのか皆目見当もつかない
誘われた時行かないといえばよかった
金持ちに着いていけばいい思いが出来ると思った
今日だって今頃あいつの別荘だって言う洒落たコテージで焼肉でも食べようという話だったんだ
「もう嫌だな」
俺が何か一つでも期待した物事は大抵失敗する
出来が良い自信作の作文も書き終えたあと少し席を外した間に幼かった弟に破られてしまった
愛らしい見た目の、出来の良い弟に一体俺が何を言えると言うんだ
少し自分で考えただけだ
少し自分で決めただけだ
なのになんで
俺が意思を持つとロクなことがない
ほら、恵くんも言ってたのに
兄さんはそんなところに行くべきじゃないって
言うことを聞かなかった俺が悪い
ここに来れば俺も一人で行動できるって思ってくれるだろうと
きっとそれは良くない考え方だった
だからか
いや俺はやっぱり意志なんか持たなきゃ良かったんだ
たった2日の野宿で心はボロボロだった
この山には熊が出ると聞いていた
きっと俺はすぐ死ぬ
今日死ななくても明日死ぬ
すぐ死ぬ
だって、俺は1人でいる限り1人で考えて1人で決めなきゃ行けない
よく考えて行動した結果不運にも死んでしまう
きっとそれも心底情けない死に様に決まってる
情けないまま死にたくない
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