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『それはpureだった』
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『それはpureだった』
無事に式が終わり、会場の外に出てビーチまで歩く。
そして記念写真を何枚か撮って、お馴染みのイベント ”ブーケトス”の時間がやって来た。
「俺、結婚とか興味ないけど、兄ぃの結婚式には興味あるから頑張っちゃおうかな〜?」
遠くの方で花嫁さんと女の人たちがキャッキャッと騒いでいるのを見つめる。
女の人は大変だなとひしひしと感じた瞬間だったかもしれない。
「やめとけ。女性陣に一生恨まれる生活は送りたくないだろ。
それに言われなくても結婚するさ、お前が死ぬ前にはちゃんと。」
殿がそう言うなら安心だな。
俺は殿の目を見ることなく頷いた。
殿はそんな俺の肩に手を置いて、ブーケトスの瞬間を一緒に見守った。
殿は口にこそ出さなかったが、俺には何となく言いたいことが伝わった。
俺が結婚するまでは死ぬな。と言いたかったのか、お前も長生きしろ。と言いたかのか、はたまたそんなニュアンスのことを言いたかったんだと思った。
『それって何が?』
『てかわざわざ英語なの気になるわ』
花嫁が投げたブーケは思ったよりも遠くの方にきてそれをキャッチした男性がブーケを上に掲げる。
丁度、俺たちの斜め前にいたこれまた殿に負けず劣らずなイケメンだった。
周りは一斉に拍手と彼を祝う掛け声と女性陣の落胆の声でわっと盛り上がった。
俺も手を叩いて「パンツォーレ‼︎」と言ってみたが、この騒がしさでは到底聞き取れるはずもない。
そう確信していたのに、ブーケを持ったイケメンは俺の声に反応したかの様に勢いよく振り向いた。
その顔は困惑と衝撃で埋め尽くされた表情をしていて、俺は目があった瞬間、
”痺れた”その言葉が一番適切だったと思う。
それくらいの何かを感じて鳥肌がブワッと全身を纏い、彼から目が離せなかった。
彼の掲げるブーケは鈴蘭をメインに、所々に白い薔薇が散らばっていて、キラキラと反射してとても見栄えが良かった。
何より、青い海に投げられたブーケは青い空に掲げられている。
それは俺が知る幻想なんかよりもよっぽど幻想的で、思わずめまいと腹痛の症状が出た。
俺は隣にいた殿の腕に掴まってお腹をお抑えて、そっとその場に座り込んだ。
殿はそんな俺の苦しむ様を見て何も言わずにブライダルのお兄さんにお水を持ってくるよう計らってくれた。
こんなときでも俺は殿のピアスが増えてることに気付いて、やんちゃなお年頃だなぁ。ってちょっとだけ感心した。
俺は殿から手を離し、一人で先に室内の会場に戻ることにした。
「おい、大丈夫か?
無理そうならホテルの部屋まで連れてってやるから言えよ。」
立ち上がって、一歩進めた時、殿は俺の頭を撫でながら言った。
「ああ〜〜と...多分大丈夫そう。まぁ、腹痛なんてよくあることだし重篤に考えなくて良いけどさ......。今回は流石に大人しくしてる。」
執拗に心配する兄に、俺は眉を下げ、困った顔をして笑った。
兄ぃ、そんなんで本当に大丈夫なの? って
俺死んじゃったら兄ぃ、病んじゃいそうだね って
一緒に死んじゃおうか って
口に出してたら今頃、俺は海の藻屑になってたろうな。
兄ぃ、俺全然平気だよ?
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