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『べべべーらんど』
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『べべべーらんど』
我々、学生には修学旅行という大イベントが待ってる。
しかしながら俺は入院していたせいで修学旅行には行けなかった。
そこで、いつもの仲間達が計画を立てて連れて来てくれた。
人脈って大事だなぁってつくづく思うわ。
野郎6人でも楽しすぎて心は女子高生並みかもね。
『不穏な空気がする名前だな。』
『楽しんで』
社会人は楽しむ時間すら制限されてるなんて可哀想だと鼻で鳴らした。
なぁ!あれ乗ろうぜ!
俺腹減ったなぁ。誰かなんか買いに行こよ?
うわッ!見て見て見てめっちゃ可愛い…。
お前声掛けてこいよ。ナンパしてこいって!
とりあえず写真撮ろうぜー!
各々が浮かれ気分で散っていくなか、俺は1番仲のいい鈴木とベンチで一休み中。
体調は大丈夫か?と鈴木に聞かれて、自分でもどうなのかよく分かってないと初めて気づいた。
悪くないけど、決して良くはない。
そんな事を笑って言えるほど俺は空気の読めない人間じゃない。
「死ぬほど薬持ってきたから任せとけ」
俺は少し考えてから、親指を立てた。
そしたら、鈴木は「勝手に死ぬなよ」って眉を下げて笑うだけだった。
何か、何か、、、何かしなければいけないのに今は出来ない。
それがとてももどかしくて、情けなくて、
そんなこと言うなよって吐き捨ててしまいたかった。
でも口から出たのは慰めの言葉でも、安心を促すような言葉でもなく、犬も食わないような下手くそな冗談だった。
「まだ死なないよ。でもその時が来たらお前の妹に乗り移って知らせてあげるさ。」
それでも鈴木はふざけんなっ!って俺の肩を軽く殴って、二人で笑った。
あぁバカだなぁ…俺たちって本当にバカだと思う。
『人じゃない生物が歩いてる不思議を体験してるよ』
再びみんなと合流してからは、アトラクションに乗って、たまに現れるキャラクターたちと触れ合ったり、ポップコーンやチキンなんか食べたり、満喫した。
なんか、これが本当に最後になってしまうんじゃないかって怖くなった。
『まじか、最高かよ。』
病気は突然くるから困ったものだ。
ついさっき眩暈がして、鈴木の腕に捕まって何とか耐えていたのも束の間で、今はもう立ってるだけでも辛い。
俺の異変にいち早く気づいた鈴木は、何も言わずにおぶってくれた。
他のみんなも歩くペースを落としてくれたり、荷物を持ってくれたり、至れり尽せりで、それが何だか奇妙で思わず笑ってしまった。
俺たち、なにしてんだろね?って。
こんなこと俺も、みんなも、誰も望んでないのに、
何でこうなっちゃったんだろね。
それでも最後には夜のパレードを見て、お土産もいっぱい買って、みんなで口を揃えて言うんだろうな。
「最高に楽しかった」って。
俺はどんな気持ちでそれを口にするんだろうな。
ただ純粋な気持ちで言えたらいいのに…なぁ。
『サイコウニタノシカツタ』
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