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『と、言いますと?』
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『と、言いますと?』
3月間近にも関わらずより一層寒さがました今日
早起きをした。
ここ2、3日は本当に嘘みたいに調子が良くて、これワンチャン行けんじゃね?って思えるほど清々しい日々を送っていた。
早朝5時に雨音で目が覚めて、
雨が降ってるから散歩に行こうって外に出た。
病気になる前ですら、こんなこと絶対しないって言える。
寒いし、
雨降ってるし、
傘さすの面倒だし、、、。
家族会議の翌日からずっと誠さんからのメッセージが途絶えない。今も、「本当にそれでいいのか?」って言われてるところ。
もう、うんざりですよ。
雨の中、静かな住宅街を抜けてぼーっと山道へと続く畦道を歩く。
たまに鼻歌なんか歌ったりして、
何も考えず、
何かをしきりに考えたりして、
世界に見放されたみたいな雨の日の早朝に
これほどの充足感を覚える日が来るとは思いもしなかった。
ただ悪い気はしない。
むしろいい!すごくいい!
脇道にそれたところにある苔の生えた古いお寺で休憩しようと43段の階段を登り、小さな祠が左手に見えて息を整えてからその祠に歩み寄る。
お地蔵さんの前で屈んで、傘が落ちないように首と腕で器用にバランスをとって、手を合わせる。
明日は晴れますように。
他にもっと望むことがあるけど、
叶えてほしい事ばかりだけど、
なんとなく、明日は晴れてほしいと思った。
まだまだ雨が続きそうな分厚い空にスマホをかざす。
あと何日生きられるだろうか。
手術を受けるべきなのかもしれない。
いや、もう遅いか...。
ぼんやりと考え事をしながらもスマホを回す。
お地蔵さんの穏やかな無表情が嫌いだ。
以前見た映画を思い出した。
事故で妻を亡くした男の物語で、男は妻を愛していたのか。
妻が居なくなってから生まれた疑問の、その真相を導き出そうとする男の姿はとても奇妙に思えた。
多分、俺も奇妙なことをしてる。
それで思わず笑ってしまった。
自分の説明のつかない奇妙な行動に意味があるとすれば、
一体なんだろう。
この奇妙な早朝の出来事を忘れないだろうなと思う。
そんなことをぼんやりと考えながら、
本殿にもきちんとお参りをして
ビチャビチャの畦道を歩いて帰路に着いた。
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