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「おはざま!」
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「おはざま!」
昨日、俺は誠さんの家でお泊まりをした。
目的は映画鑑賞だったんだけど、気付いたらまったりゲームして他愛ない話して、1日を過ごしてた。
そして一緒の布団に寝て、冷え性な俺もぬくぬくで眠りについたわけ。
「朝から元気なこって」
ゼロ距離で誠さんのまだ寝ぼけた声がする。
同棲したらこんな感じなんだろうな。最高かよ。
誠さんは遠慮なく俺を抱き寄せ、抱き枕みたいに足も絡め取られる。
それで肺一杯に俺のシャンプーの匂いを吸い込んだと思えば、チュッとおでこに軽いキスが降ってきた。
「誠さん、俺のこと彼女だと思ってる?」
俺も俺で、なんの戸惑いもなく腕を背中に回して、彼の胸に顔を埋める。
「彼女でしょ。」
閉じていた瞼がパッと開いてまたゆっくり閉じていく。
失敬な、俺は彼氏だよ。って笑って言えば同じように笑ってくれる。
「俺のことが好きでぇー、結婚したいーって?」
俺はうーっと伸びをして、誠さんの腹に頭を乗せる。
少し上半身を起こした誠さんと目が合う。
幻みたいな朝だ。
カーテンに締め切られた部屋は暗いけど、晴れの日の明るい日差しが隅から溢れてる。
もう、2度と訪れない...再現することもできない、幻の朝だ。
「好きだよ、結婚したい。」
誠さんはふふって笑ってはっきりとそう言うから、冗談だよ。って言えなくなった。
だってこれを冗談ですませるなんて、あまりに勿体無いと思ったから。
「じゃぁ指輪は?」
「...買いに行く?」
「その後、質屋に行って売りに行こうよ」
そんないつも通りの会話をしてるはずなのに、俺も誠さんも何処かふわふわしてるような感じがする。
それがくすぐったくて、誠さんから離れるように起き上がった。
「おいおい、社会人の給料をなんだと思ってんだクソガキ」
誠さんも起き上がって笑ってくれる。
夢かも知れない。なんてことを密かに思った。
夢でもいい。今日はいい日だなって思って、誠さんにそっと寄り添った。
「もし買ってくれるなら大切にするよ」
誠さんからもらったもの全部大切にするから。
なにも悲しまないで。
誠さんが何も言わずに頭を撫でて、そっと唇を落とす。
それからすぐに「じゃ、出かける準備するか」って言って、二人で朝の身支度をした。
それで本当に指輪を買いに行った。
ちゃんとしたとこじゃなくて、どこにでもあるようなアクセサリーショップで、
俺と誠さん、二人でこれが似合うとか、これは好みじゃないとか、どーでもいい言い合いをしながら選んだ指輪が嬉しくて左手の薬指にはめられた指輪にチュッてした。
コーヒーショップでお互い気になるコーヒー豆をいくつか選んで、飲みきれないなって話をしながら車で家まで送ってもらった。
幻の朝、夢見たいな1日を過ごした。
でも左指にある指輪が、充満したコーヒーの香りが、目の前にいる誠さんの姿が、あまりに鮮明で最高に素晴らしい、完璧な1日だと思った。
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