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0日 ー追憶ー
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しんと静まり返った待合室。
設置されたソファは俺以外誰も使ってない。
医師が何かを告げて静かに出て行く。
まだ朝にもなっていない、真夜中。
車に残された奴の残り香を掻き消すように、
奴が好きだと言って、聞かせてくれた静かな女の歌声が、
耳に響いて...あまりに煩わしくて
泣けなくなった。
真夜中の道路はどこも点滅信号で、「田舎だなぁ」って笑う奴の顔が……
何でもないただの車の助手席に
今も執着にこびりついてる。
明日も仕事がある。
早く寝ないといけないのに
しきりに思い出される光景が夢のようで
本当は今も眠り続けているんじゃないかとおもった。
俺たちは長い間、嘘をついていた。
縛られた規則のように、固く結ばれた誓いのように、
俺たちはその嘘を愛して止まなかった。
ーーー"世良 杜夢"に捧げる追憶ーーー
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