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俺が、守ってやる。
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「斗蒼ー、急いでー!」
「ちょっと待て!慧斗が離さないから着替えらんないんだよ!」
「あー、ほら、慧斗ーちょっとだけ我慢なー。」
「く、苦しっ…ネクタイ離せ…」
「ネクタイ外しちゃえば?」
「あー、そうだな。」
ネクタイを外し、慧斗を慧に預け、素早く着替える。のは無理だった。
「斗蒼、何やってんの?」
「うるせぇな、なんか引っかかってんだよ。」
「捻れてんじゃん。袖。」
「あぁ、ほんとだ。ネクタイ、あったっけ。」
「あー、ほとんどクリーニングに出してるよ。」
今回はネクタイ無しで行くか。
ジャケットを羽織り、身なりを整える。
「終わったー?慧斗泣きそうなんだけど。」
「お前、嫌われてんじゃねぇの?」
「え、それ冗談でもキツいよ。」
「ふっ、ざまぁ。」
「うわぁ、泣きそう。俺が泣きそうだわ…。」
「慧斗笑顔になった。やっぱ嫌われてんじゃん(笑)」
「え、マジで?うわぁ、泣いてもいい?ねぇ、泣いても「早く車出せ。遅れたら洒落になんねぇだろ。」
慧斗を引き取り、ブツブツ呟いてる慧を追い出す。
「ふぅ…、今日は、慧斗も大変だろうけど、我慢、してくれよ。」
「うー?」
俺らは下に降りて、車に乗り、会場へ行く。
茉莉愛をなんとかしなくては……。
主催者に挨拶をし、中に入る。
ざわめきが沈黙へと変わった。
「と、斗蒼様って、婚約者いましたの?」
「あぁ、まぁな。」
萌亜の子供を預かってる、とは言えない。
言いづらいんだよなー。
「この子のお名前は?」
「慧斗だ。」
「次期当主ですわね。斗蒼様の跡を継ぐのはさぞ大変でしょう。」
「そうですわね。斗蒼様がたくさんの事業をおやりになっているから、頭がいっぱいになりそうですわね。」
親父がやってるんだけど。
「斗蒼様ー!斗蒼様っ…!?」
来た。許嫁擬き。
「その子、誰ですの…?」
「俺の子供だ。何か文句でも?」
「誰との、子ですの…?」
「お前には関係ないだろ。」
「その子、実子ではありませんよね?」
「はぁ?何言って…「萌亜様の子供、ですわよね?」
調べたのか?こいつ…。
「萌亜様の子供で、お名前は慧斗様。萌亜様が訳あって、子供を預けなくてはならなくなり、斗蒼様に預けた。間違ってますか?」
「…、茉莉愛様。お言葉ですが、私たちの私事にまで入り込まないでいただけますか?」
「あんたには関係ないでしょ!?
これは、私と斗蒼様の問題なのです!」
「茉莉愛様と斗蒼様の問題であれば、私も関わって来ます。斗蒼様の執事ですので。」
「それでも、全部知ってるわけじゃ…「その時、私は立ち会ってました。全てご存知ですよ。」
「っ…!!私は、斗蒼様の許嫁ですのよ!?」
「お前が勝手に言ってるだけだ。
俺と、父さんは認めてない、と言ったはずだが?」
「斗蒼様のお母様はどうなのですか!?」
「茉莉愛様、いい加減に、「いねぇよ。」
「えっ…」
「母さんは、いねぇよ。」
「斗蒼様…。」
俺が、学校行ってる間に、交通事故で、死んだんだよ。
俺はそん時アメリカに行ってたから見てないけど、帰ってきたら、親父にそう伝えられたんだ。
「そう…でしたの…。」
「そう言うことだ。勝手に許嫁とか決めるな。俺は一言もお前と婚約するなんて言ってない。
ただの、被害妄想に過ぎない。」
俺は踵を返し、この場から離れる。
「さぁ、皆さん、楽しみましょう!
今のことは気にせず、今夜を楽しみましょうね!」
慧がこの嫌な雰囲気を壊し、元のムードに戻る。
「あ、おいこら、慧斗、ダメだって。お前は歯がねぇんだからまだ食えねぇよ。」
「あーだー!」
「お前はこれでも食ってろ。」
と言ってたまごボーロを与える。
超ご機嫌良いんだけど(笑)
「おい、詰め過ぎだって。」
「ゔえっ…」
「わっ、バカ。だから言ったろ?」
「斗蒼様、袋ありますけど、」
「おぉ、くれ。流石にこれは食えない。」
原型をなしていない。
ぐちゃぐちゃになってるから、食べる気だって失せる。
他の物なら行けるのもあるけど、ソフトせんべいとか、多少ふやけてても行ける。
でも、たまごボーロは溶けやすいから、無理。
「今新しいのあげるから待てって。」
またたまごボーロを与えた。
超可愛いんですけど。
一つ口の中に入れて美味しそうな顔して食べんだよ。
そん時の顔が可愛いんだよ。←親バカ
「慧斗様、可愛いですわね。」
「ありがとうございます。」
「こんなにたまごボーロを可愛らしく且つ、美味しそうに食べる子は初めて見ましたわ。」
「大好物らしくて。歯が無いから、こういうのしか食べられないんですよ。」
「じゃあまだ離乳食は食べてないんですの?」
「離乳食…?」
「ミルクを卒業させるために、私たちが食べているものと同じような味付けをして、少しドロッとした液体のことですわ。これなら歯がない子でも食べられますし、歳月で固さや、味付けもだんだん変わっていくのですよ。」
「へぇ…。今度試しに買ってみるか。」
「私の家にたくさん余っているの。よろければもらっていただける?」
「じゃあ、お言葉に甘えて、もらっても…」
「良かった!渡す宛が無かったから、ちょうど良かったわ!ちょっと待ってて下さいね。」
と言って執事の方へ走っていった。
「良かったな、違う物が食べられるらしいぞ。」
「斗蒼。」
「ん?」
「茉莉愛に言われたこと、気にすんなよ。」
「あぁ、大丈夫。」
「何かあったら俺に言えよ?
斗蒼は、俺が守ってやるから、斗蒼は慧斗をちゃんと守れよ?」
「ふんっ、当たり前だ。」
「お待たせ致しましたー!」
でかい紙袋を渡された。
この中身いっぱいに離乳食が入っていた。
「こ、こんなに…」
「私にはもう必要ない物ですので。
あるもの全て差し上げますわ。」
「あ、ありがとうございます。
では、俺らはもう上がります。」
「あら、もっとお話したかったのに。」
「次回、お会いしたら、話しましょう。では。」
「ごきげんよう。」
慧斗は疲れたのか、たまごボーロの袋を握り締めながら寝てる。
俺も、眠くなってきた………。
「同じような顔して寝てるし…(笑)
……なんで桜庭家は、有栖川家の事情を知ってるんだ……?
警戒しなきゃなんねぇな……。」
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