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樹との出逢い
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母親、樹、航平とで組んだカリキュラム。
学校が終われば、ほぼ毎日、家庭教師。
相当な金持ちらしく、視線を向けた先には豪華なインテリアや家具が目につくリビングで母親が入れてくれた紅茶を口に運び、樹の帰宅を待った。
食器など詳しくもないが、緻密で優雅なデザインが施されたティーカップも何処ぞのブランドなのかもしれないな...と、カップを置いた矢先、樹が学校から帰宅した。
「もう!遅れるなら連絡なさい」
「ごめんごめん。じゃ、行こうか、先生」
その瞬間、樹の何気ない口ぶりに航平は違和感を覚えた。
が、樹の部屋に入れば、それは打ち消された。
12畳はありそうな樹の部屋。
奥にはダブルどころかキングサイズであろうベッドがある。
中央にはまるで応接間のような、大理石風のテーブルをL字型のソファが挟んでおり、カーペットもまた上品かつ肌触りがいい。
天井を見上げるとかなりの高さがあり、壁には大型の本棚が二つ並び、反対側にはローテーブルに大型のテレビ。
思わずきょろきょろと見渡したが、勉強机が見当たらない。
「え、と...勉強机は?」
「ああ。勉強机って、狭くて落ち着かないので撤去して貰いました」
そう笑顔で言うと、教科書や参考書をテーブルに並べ始めた。
航平も拳を握りしめ、心の中で舌なめずりした。
今まで通りに合格させれば、バイト代が上乗せされ、ついでに性処理まで出来るのだから。
しばらく並んで座り、勉強していたが、不意に、
「先生って、イケメンですよね」
来た、来た、来た!
色白で端正ながら整った樹の満面の笑みに興奮が冷めやらない。
が、それも、ほんの束の間だった。
樹にあろうことか、尻を鷲掴みされたのだ。
「そ、そうかな、そんなことはないと思うよ」
揉みしだく指を解こう、と腰をくねらせ、航平は冷や汗をかきながら、引きつった笑みを浮かべた。
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