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悪魔の願い
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部屋はエロ本や脱ぎ捨てた服で散らかりに散らかっていて、あまりの汚さに肩を落とす。
こんな部屋に人を居れるのは、ちょっと……なァ。
仕方なく緊急時としてベッドの下へと手当り次第に潜り込ませると一見綺麗な部屋へと変わる。
「ったく、こんな事になンなら掃除しとけばよかったわ…。」
しかしこれからどうするべきか。
勢いで連れて来ておいて言うのもアレだが、この家に居候されるのも困る。
あの身体の傷は虐待とかか?
だとしたら俺一人で解決することなんて不可能な気がする
あんなに頼もしい言い草をした癖に不安に押し潰されそうになっていた
ペタペタと廊下を歩く足音が部屋の前で止まり
少し間を置いてノックをされる。
「おう、入れよ、」
ドアを開けると男が部屋へと足を踏み入れた
身体からは湯気が立ち上り、タオルでは乾かしきれていない濡れた黒髪
「……あ、の…お風呂と、服貸してくれてありがとう。」
人が泊まりに来る事なんて想定外、普段友達さえも家に入れないのだから予備の服なんてあるわけもなく
いつも着ている俺の服を貸してはみたが、やはりコイツには大きいらしい。
ズルズルと滑り落ちる服から覗く傷だらけの肌を恥ずかしそうに隠している。
「そんな服しかなくて悪ぃな」
「う、ううんっ。」
「まあ、好きな所に座れよ」
そう顎で促すと部屋の硬い床に体育座りをして身を縮めた
好きな所って言ったけど……床かよ。
謙虚、というか消極的というか
まあ、正直俺が苦手なタイプだ
「……今更、だけど俺は辰巳。お前は?」
ベッドの上にバウンドするように座り込み、男を上から見下ろした
考えてみればお互い名前も素性も全然知らない。
そう言うと男は顔を上げて、ハニカミながら名を口にした
「僕は……美麗」
「へぇ、美麗か。
見た目とは正反対な名前だな」
思った事が理性を差し置いて先に口から零れ出し
これだから俺は、と手で頭を当て自分で呆れる。
「……そ、うですよね。僕も思います。」
そう言うと床へと視線を落とし、自分の手を絡ませて眺めていた
「あ、の……辰巳くん、。」
そう名前を呟くと、美麗は何かを思い立ったように立ち上がり、目の前に大きな影を作った
息がかかる程に近づけられた美麗の顔に思わず息を飲んだ
黒くて長いまつ毛から熱を帯びた瞳が真っ直ぐと俺を見つめる。
このままじゃ食べられてしまう、そんな気がして視線を背けるとフワリと頬をまだ濡れた猫毛が撫で、耳元で甘く囁いた。
「……何でもしてくれるんですよね?」
なんでも?……
確かにそんな事も言っていた気がする
でも半端勢いで口走ってしまっていた事だし、なんでもとは言っても限度がある、
「あ、あぁ。」
「……なら、……僕と付き合って。」
そう言って真っ黒な瞳はジッと見つめてくる
俺は断れない、そう絶対的な自信があるように見えた
「って、無理ですよね……はは…分かってるんです、あれはその場しのぎの嘘だって。」
その言葉は一見謙虚で弱々しく見えるが、まるでわざと煽っているようにも感じた。
しかし俺は乗せられるように食い気味に口を開く
「!……ンな訳じゃねェ!!!……ッけど。」
「じゃあ良い?」
甘ったるく耳元で囁かれるその言葉に緊張感が走った。
だって分かっていた、ここで断ったらコイツは今ここで死ぬことだって簡単にしてしまう
男の熱を帯びた瞳に隠された深くドス黒いヘドロ。
その瞳に魅入られると断る、そんな選択肢は頭から取り払われた
ああ、クソ。面倒な奴に関わってしまったのかもしねェ。
そう心の奥で薄々感じながら俺は渋々うなずいた
「……あぁ。」
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