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夏休み
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side ちとせ
斗真とのことですっかり忘れていたが期末テストがあった。普段の授業は聞いていると言っても、やはり期末は教科数が多い上、範囲も広い。苦手教科に頭を抱えつつも赤点はなかった
「ちとせぇぇぇあ゛か゛て゛ん゛〜゛〜゛」
泣きながら返却された数枚のテストの答案用紙を持って近づいてくる愛希に苦笑する
「何個?」
「3個ぉ」
「…どれ」
「数学と化学と英語…」
うわぁ…と思わず言ってしまい愛希が更に酷い顔になる。今回は瀬戸も忙しかったようであまり一緒に勉強出来ていなかった
「まぁ、全部宿題出てる教科だしよかったんじゃないか?」
「夏休みがぁぁぁ」
赤点は夏休み初日から補習がある。幸い愛希は夏休みの宿題が出ている教科ばかりが赤点のため、補習ではテストの振り返りと宿題の消化をするらしい。どうせ毎年終わらなくてギリギリに泣きついて来るのだから丁度いいだろう
「全員席戻れ〜明日の終業式の話するぞ〜」
___キーンコーンカーンコーン…
チャイムが鳴った瞬間、クラスの大半が急いでカバンを持ち立ち上がる。田中が「お前らなぁ…」とボヤくが皆無視して教室から飛び出す
愛希もカバンを持って「帰ろー」と言うので一緒に昇降口に向かうが、人が多くて進まない
「こうなるのわかってるんだから別のとこに貼り出せばいいのにな」
「え〜俺は見るの楽しみだよ!」
昇降口にある掲示板の前は今回も人集りが出来ていた。別に前みたいに勝負はしていないし見る必要もないのだが、愛希は見たいようだ
2人して人混みに流されるように進んで特に騒がしい掲示板の前まで来る。見上げれば『第1学年 1位 新藤斗真』とデカデカと書かれていた。これを貼り出す担当の教師は何をしているのか…
自身の赤点のことなど頭から抜け落ちたようで「すごいね〜」と笑う愛希と何となくゲンナリした俺は正反対の顔つきで帰路に着いた
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