アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
夏休み(9)
-
side ちとせ
階段を降りていく斗真の背中が見えなくなって思わず「はぁ!?」と叫ぶ。いつもなら家まで送るとか最寄りまで送るとか言われてそれを適当にあしらうのだが、その問答すらないなんて…
「ほんとに何考えてんだよ!!」
イライラしてその場で愚痴ってしまう。道行く人に振り返られたがそんなことはどうだっていい。このまま帰らせてたまるか。俺は納得がいかず斗真の降りていった階段を駆け下りた
幸い電車はまだ来ておらず、降りてすぐのところに並んでいた斗真を見つけて掴みかかる
「おい!」
「え、ちとせ…どうした?」
「どうしたもこうしたもあるか!何なんだよお前!何考えてんだ!!」
怒り心頭の俺に突然怒鳴りつけられてさすがの斗真もたじろぐ
「お、落ち着け、な?」
「落ち着いてる!!」
「いや落ち着いてないだろう…」
困り顔でお手上げだというジェスチャーをする斗真は珍しく俺が怒っている理由がわからないようで、本当にどうしたんだ…と言う顔をする。それが俺は気に入らなくて更にイライラする
「なんで1人で帰るんだよ!」
「帰る方向が別なんだか…」
「うるさい!」
斗真は口を噤む。理由を聞いておいて黙らせるなんて理不尽極まりないと、冷静な俺ならば思ったかもしれないが今は冷静さなど欠片も持ち合わせていない
斗真はというと自分がどんな失態をおかしたのか、何がこんなにも俺を怒らせているのかを考えているようで、視線があっちへ行ったりこっちへ行ったり、眉間に皺を寄せては首を傾げる
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
9 / 43