アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
夏休み(10) side斗真
-
side 斗真
久しぶりにちとせとデートをして俺は機嫌よくちとせと別れ、ホームに並んでいた。今日もぷりぷりと怒るちとせは可愛かったし、興味津々な様子で店を覗く姿も可愛かった。面白いものを見つけては嬉しそうに振り返って見せてくるし、俺にどんなものが好きかと尋ねてきたりもした
今までちとせは俺の言動に意識が向くことはあっても、好きなものや興味のあるものなど俺のことについては全く関心がなかった。それが段々と気になるようになったようで、その変化は俺にとって喜ばしいことだった
そのせいか、ちとせがむっすりとしたりするのはいつもの事だとある程度流していたし、鬱憤が溜まっていたことに気が付かなかった。どうやら浮かれていたようだ。突然改札辺りで別れたはずのちとせに飛びかかられて怒鳴りつけられて、何が何だかわからなかった
とりあえず座ろうとホームのベンチに腰掛けたものの、何を言えばいいのかわからない。チラリと隣を見るとぷりぷりとかぷんすかとか、そんなレベルではなくはっきりと苛立っていることがわかる。余程気に入らないことをしてしまったようだが、俺にはさっぱり心当たりがない。唯一ヒントと言えるちとせの「なんで1人で帰るんだよ!」を手がかりに考えるなら家まで送って欲しかったのだろうか…それはいつもちとせが嫌がるからないとは思うが。ならば家に来たかったのか?
そういえばあの日ぬいぐるみを返してなかったなと思い至って口を開く
「犬のぬいぐるみか?」
そんなに気に入っていたのか
「何が」
違ったようだ…
「……」
「……」
ちとせといてこんなにも居心地が悪いというのはあまりない。怒っているちとせも可愛いと思うのだが、さすがにここまでキレられているのにそんなことは言っていられない
「あー…とりあえず家来るか…?」
そう言うとすくっと立ち上がったちとせが何も言わずホームに並んだ
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
10 / 43