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自覚した想い
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side ちとせ
泣きたくなった
気づいてしまった自分の想いに苦しくなった
もう誤魔化せやしない。寂しくて仕方がない。顔が見たいし触れたいし触れられたい。キスがしたい、抱きしめて欲しい
揶揄われるのはムカつくし、構われすぎるのは鬱陶しいし、無視し続けたら怒られる。面倒くさくて煩わしくてイライラする
だけど、いないよりはいい。
ふと通りがかって頭を撫でられるのも、朝起きてちょっとあどけない寝顔を見るのも、寝る前におやすみっておでこに落とされるキスも、あれ取ってとかこれ置いてとかたわいもないやり取りをするのも、いつもちょっとだけ胸があったかくて、擽ったくて…
隠したくてわざとつっけんどんな態度を取った。話しかけられてもそっぽを向いた。聞こえていても聞こえないふりをした
斗真の前じゃ素直になれない
でも、だからって自分の心まで誤魔化さなくたっていいんじゃないか…いつかの穏やかな笑みを浮かべた老爺の言葉を思い出す
『自分の心だけは偽ってはいけません』
自分の…俺の、心……
のそりと起き上がってぼーっと一点を見つめる
何もない虚空を見つめて自分自身に確かめる
俺は、斗真が…斗真のことが…
「すきだ…」
___ぽと
何かが落ちた音がした
静かな部屋でやけに大きく聞こえたそれは立て続けに、ぽと…ぽとぽと…そんな音を立てる
頬を伝ってはらはらと流れ落ちていくそれは顎の先で行き場を失って空中へと投げ出される。重力に逆らう事無く次から次へと落ちていってシーツに当たって弾ける
溢れて、止まらなかった。止まれとも思わないけれど、止められなかった
痛くて、痛くて、ただ痛くて…
締め付けるように刺すように『好き』が俺を苦しめた
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